日本のesportsを語るにおいて「賞金」の問題は避けて通れない。
だが、私達はこの賞金と法律に関して正しく理解しているだろうか?
今回は最新のesportsの賞金事情を分かりやすくお届けしよう!!
esportsと賞金
多くの人がesportsの賞金は10万円以下でないといけないと思ってはいないだろうか。
あれ・・・
- 「モンストグランプリ 2019 アジアチャンピオンシップ」も賞金総額が1億円だったはずでは・・・・
- 「Shadowverse World Grand Prix 2018」では優勝賞金が1億円だったような・・・
Image Credit: 大会公式サイト
一体、どんな仕組みなんだ!!!
esportsの賞金には3つの法律が絡まっていた。
立ちはだかる三つの壁
「景品表示法」、「賭博罪」、「風営法」の3つを日本のesportsの発展の為には超えなくてはならない。
景品表示法
景品表示法とは?
簡単にまとめると・・・消費者のより良い消費を守る為の法律である。
esportsと関係するのはその中でも「一般懸賞」である。
「一般懸賞」とは?
法律では、過大な賞金や賞品は消費を誘導する可能性がある為に規制されている。
Image Credit: 消費者庁PDF一部抜粋
「一般懸賞」とは、販売物にお金を払った人にくじなどの運が関わる結果や何らかの行為の結果の優劣によって賞金や賞品を与えることだ。
esportsで当てはめてみると・・・ゲームにお金を払った人に操作技術の優劣によって賞金や賞品を与えるということだ。
有料のゲームや課金制のゲームはこれに該当するのだ。
だから、限度額が10万円になってしまうのだ。
「モンスト」の対応
基本無料で、課金は任意というシステムを取っているモンストも「一般懸賞」に引っかかってしまう。
そこでmixiは、esports専用の無料のタイトル「モンストスタジアム」を別に開発して大会を行った為、賞金総額1億円が可能となったのだ。
Image Credit: モンスターストライク スタジアム
「JeSU」の対応
どの企業も「モンスト」の様に無料版のタイトルを新たに開発できるわけではない。
「JeSU(日本eスポーツ連合)」は関係省庁に掛け合い、新たな解決策を得た。
それは・・・・
「賞金」をゲームの購入に基づくものではなく、大会を盛り上げるという「仕事の報酬」として捉えることである。
では、ゲームの大会に出場することが「仕事」になるのはどういった場合なのか?
ゲームが仕事に!?
Q.ゲームの大会に出ることが「仕事」になるにはプロゲーマーじゃないとダメなの?
A.実はプロかどうかは関係ない。大会運営から参加資格(大会を盛り上げる能力がある)を認められたならば誰でもOK!
まだ曖昧な部分が多いが、概ね景品表示法の問題はクリアしたと言ってもいいだろう。
賭博罪
賭博罪とは?
簡単に言うと・・・・財産をかけてギャンブルを行うことが犯罪であるということだ。
esportsのどういった点が賭博に当たるのか?
esportsと賭博
海外では一般的となっている「参加料徴収型大会」が賭博に当たる可能性があるのだ。
参加料徴収型大会とは?
大会出場者が参加料を支払い、そのお金が運営費や賞金の一部に使われるというシステムだ。
参加料が賞金に充てられる点が賭博と判断されるのだ。
Image Credit: MastercardNexus twitter
しかし、この方法は運営の負担が減る為、大会開催のハードルが若干下がるというメリットがあるのだ。
JeSUの対応
Image Credit: 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト
JeSUは関係省庁に掛け合い、「参加料徴収型」が賭博罪に当たらない方法を聞き出した。
- 賞金が参加者や主催者ではなく、スポンサーから提供されること。
- 参加料が会場費やスタッフの活動費などの大会運営費用に使われ、賞金・賞品に使われていないこと
賭博罪の壁は突破できたと考えて問題はない。
風営法
風営法とは?
簡単に言うと・・・キャバレー・料亭・クラブ・パチンコ店・ゲームセンターを営業する時に必要な法律
一見何故この法律がesportsに関係するのかは分からないだろう。
esportsと風営法
Image Credit: Olympic News
「大会会場を店舗と捉え、競技用の機器をテレビゲームと捉えるとesportsの大会がゲームセンターと解釈できる」
と言った嘘のような曲解によって風営法が適応される可能性があるのだ。
では、風営法が適用されると何が起きるのか?
風営法の影響
- 大会ごとに営業許可が必要
- 照度が決まっている為にライト使った演出ができない
- 年少者の入場時間制限
- 賞金を出せない
風営法の適用は何としても阻止しなくてはesportsの未来はない。
風営法の適用が外れた前例
実は「ダーツ」や「ビリヤード」もかつては風営法の適用内であった。
しかし、この二つは外れている。
その理由は・・・・「遊戯」では無く、「スポーツ」として認識されたからだ!!!!!
結局のところ
esportsを盛り上げるより他ないのだ。
とんでもない矛盾だ。
本来盛り上げる為の手段のはずの大会や賞金制度が、盛り上げなければ確保できないとは・・・
適用から外さなければ、続くesportsカフェやesports練習場などのesports先進国への道は遠のくばかりだ。
Image Credit: e-sports cafe
景品表示法、賭博罪の壁はほぼ突破したものの、風営法の壁は厚い。
これからのesports
最近は高額な賞金が出る日本の大会も増えてきている。
「ゲームが上手い」という特技で生活できる未来は、実に楽しそうではないか!!!