最近esportsを専門に扱った学科や学校があるらしい・・・
入学を考えているなら、一回見てくれ!!!!
日本esports市場と照らし合わせて、良し悪しを独断と偏見で判断してみた。
はじめに
2019年はesportsの知名度が飛躍的に上昇した年であった。
大会のライブ配信は1万人以上の同時接続を記録する事も多く、esportsのテレビ番組も数多く放送される様になった。
しかし、世界的に見れば豆粒レベルである。
プロ選手やストリーマーの中、専業で生活できるのはほんの一握りだ。
故に練習時間や最良の環境を築くことが出来ず、実力面でも世界より劣ってしまう。また大会規模も会場、賞金、設備のあらゆる面でesports先進国には及ばない。
市場や文化と言う側面では、日本esportsはまだまだこれからであると言える。
この現状で顧みて、esportsの教育とはどうあるべきなのだろうか?
若者とesports
小学生
コロコロコミックのアンケートでは、小学生に人気の職業ランキングでは2位がプロゲーマーとなっている。
信憑性は正直微妙だが・・・・・
高校生
高校ではesports部も誕生し始めている。
全国大会も開かれている。
大学生
esports教育機関が登場
若者の一部はesports業界に足を踏み入れようとしている訳だ。
その支援・道標を称してesports学科やesports専門学校が最近数を増やしている。
乱立するesports学科・学校
JIKEICOM Team Esports
東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校
専門学校 東京クールジャパン
ルネサンス高等学校
バンタンゲームアカデミー
esports 銀座 school
OCA大阪デザイン&IT専門学校
福岡デザイン&テクノロジー専門学校
学費ってどのくらいなの?
一番詳細な例では・・・
北海道ハイテクノロジー専門学校 | 2年制 | 231万円 |
東京アニメ・声優専門学校 | 2年制 | 推定300万円(初年度148万円) |
東京デザインテクノロジーセンター専門学校 | 4年制 | 576万円 |
日本工学院 | 2・4年制 | 260~505万円 |
デジタルハリウッド大学 | 4年制 | 513万円 |
名古屋デザイン&テクノロジー専門学校 | 3年制 | 非公開(初年度145万円) |
OCA大阪デザイン&IT専門学校 | 3年制 | 420万円 |
O福岡デザインテクノロジーセンター専門学校 | 3年制 | 417万円 |
※下記のブログより抜粋
普通に大学や専門学校に行くのとほとんど変わらない。
むしろ、高いすらある・・・・
では、学費と”中身”は釣り合っているのか?
カリキュラム
- 実技(全体の6~7割以上)
- 戦術論
- 動画・ストリーミングの練習(編集を含む)
- 有名人の講演(プロ選手、ストリーマー、開発者)
- イベント企画・運営 (機材は最高の物を使えるらしいが実態は不明)
- 英語 (ゲームでのコミュニケーションを重視したモノらしい。)
- 強い”マインド”作り
- ビジネスマナー
結論から述べよう。
お金を払ってまで、行く必要は無い。
特殊な授業をしている様に見えるが、他の学科・学校でも代替が可能であるからだ。
では、各々のカリキュラムに感じる不安感を述べていこう。
実技
間違いなく、核となるのはこの授業だろう。
良い点
- 確実にesportsに当てる時間を確保できる。
- 質の高い環境でプレイできる。
- オフラインの環境に慣れることにできる。
つまりは、良質な環境が提供されるということだ。
不安な点
- 学校のプレイ時間では、練習量が足りない。(自宅にもプレイできる環境が必須)
- 授業と家でのプレイの明確な違いが無い。(メリハリが無くなる)
- 練習の質の上昇は見込めない。
三つ目の点は、日本のesportsが抱えている問題に直結する。
”質”の上昇への二つの課題
一つ!!!
未発達の日本のesportsが世界と戦える様になるには、世界と戦う数を増やさなくてはならない。
しかしながら、海外勢を交えた大会やスクリムは少ない。
仮にもお金を取るならば、こうした経験のできるコネクションや機会を増やすことを優先すべきではないか?
二つ!!!
「誰が教えるのか?問題」だ!
プロなのか?プロは自分の時間をどれくらい割けるのか?
元プロなのか?現在のシーンを理解しているのか?
生徒はどの様に指導を受けるのか?生徒一人当たりの指導時間はどの位なのか?
疑問は溢れ出る。
因みに【RAINBOW SIX SIEGE】界隈は、元プロや選手が個人で授業料をとって指導をしている。
どちらかと言えば、上手くなるにはこっちの方が良い気が・・・
戦術論
この授業には疑問点しかない。
- 授業をするほどの時間を要すのか?
- 戦術は誰かに教えられるモノでは無く、自分達にあったものを見つけていくモノではないか?
- 本当の最前線の情報が学校まで流れてくるのか?(プロのアナリストから漏れては来ないだろう。)
学校で教える必要性を感じない。
動画・ストリーミングの練習
良い点
- PC環境やソフトに詳しくなる。
- 本当に多少であるが、ビジネスやマーケティングの片鱗に触れる。
- 自己発信の癖が付く。
なかなか良い様に聞こえるだろう。
だが、よく考えてほしい。
一つ目は映像制作系の専門学校の方が良くないか?
二つ目は経済・経営学部の方が良くないか?
つまり、上位互換が存在するのだ。しかし、三つ目の点はこれからの社会では必要なスキルであると感じる。
不安な点
- 流行やバズといったモノは、運や時流の影響を大きく受ける為、何を教えるのか見えてこない。
- 技術面はどの程度までレベルアップできるのか分からない。(入門書レベルなら入学の意味は確実に無い。)
有名人の講演
これは私個人の意見であるが、講演というモノは得るものが少ないと考えている。
何故なら多くの講演者は、自己満足に浸る為の武勇伝しか話さないからだ。
そして運営者も一番の狙いは内容ではなく、見栄えと客寄せなのだ。
生徒の為と言うよりは、金の匂いしか感じないのだ。
百歩譲って、講演を行うとしても【落とすものが多い人】を厳正に選出するべきだ。講演数も多くしなくてもいいだろう。
そして、最後に講演者よ。確かに今の日本のesportsで金を稼ぐのは難しいだろう。
とは言え、esports界隈の先陣であると言う意識をもった講演を心がけて頂きたい。
くれぐれも自分が気持ち良くなる為の講演をしてはならない。
イベント企画・運営
ほぼ全ての学科・学校のカリキュラムに組み込まれているが、何処もひどく曖昧だ。
身内のイベントなのか? 一般人は参加するのか? 何か販売はするのか? どの程度イベントに関わるのか? どのくらいの頻度で行われるのか?
全く見えてこない。
英語
選手活動・配信の両方で言語の壁が立ちはだかっている。
もし英語が話せれば、海外のチームに所属できる可能性やリスナーのパイを拡大することができるのだ。
大きなアドバンテージがあるのは明白だ。
しかし、言語を舐めるなと私は言いたい。
英語の授業の詳細も書かれてはいない。
ゲームの片手間で英会話が出来る様になるなら、私は今頃5か国語ぐらい話せるだろう(笑)
授業感を出す為に無理矢理入れているなら、生徒の為にはならない。
強い”マインド”作り
現代は精神論や自己啓発本などが良く売れる世の中だが、精神は十人十色なのだ。
誰にでも当てはまる理論など存在しない。
自分の精神を鍛えるには誰かの教えでは無く、場数を踏み、その度に自分と向き合うことだけだ。
厳しい言い方にはなるが、この授業の必要性は感じない。
ビジネスマナー
まだesportsが黎明期である為か、界隈には世間知らずやモラルに欠ける人間も多々いる。
ビジネスマナーの必要性は大いに感じる。
ただ座学だけで無く、実践の機会があるのかは気になるところだ。
カリキュラム総括
教育面において不明瞭な部分が多過ぎる。(与えられる知識・技術や授業詳細など)
また、必要性を感じられない無駄な授業が多い。
これではゲーム環境の提供とイベント運営をすることしか伝わらない。
教育とは到底呼べるものでは無く、サークル活動だ。
無理矢理サークル活動を教育に落とし込んだとしか言えない産物だ。
進路
- プロプレイヤー
- ストリーマー
- イベント運営
- 実況・解説
- アナリスト
- ゲームプランナー
- esportsライター
※必ずこれらの職につける保証はない。
もしなれたとしても、上位数パーセントしか専業で食べていく事はできない。
修羅の道以外の何物でもない。
プロプレイヤー
何度も言うが、市場が成熟していない現状ではプロでも一握りしか専業では食べていけない。
プロになるのですら、難しいのに・・・・
そして、卒業生して名うてのプロになった選手を見たことがあるか?(入学時からプロの場合は別とする)私は無い。
悲しいけどこれ、現実なのよね・・・
esportsとスポーツの違いも現実を突きつける。
スポーツは基本的になくなることはないが、esportsはサービスが終了すれば容易にタイトルが消滅するのだ。
何年も同じタイトルを学んだとしても、卒業してすぐにサービスが終了する可能性もあるのだ。
そしたら何が残る? 寂寥感だけじゃないか・・・
ストリーマー
動画編集、サムネ作り、配信技術などは在学の間に学ぶことができるだろう。
ここで単純な疑問だ。技術を知っているorゲームが上手いだけの人間の動画や配信を面白いと思うだろうか?
寧ろ話し方、リアクション、語彙力、自身の経験、自己のキャラクターと言った座学の外側の経験がある人間が面白いコンテンツを作れるものではないか?
この基盤があって、初めて技術の問題なのだ。
故に学科・学校に入ったからと言って、成功は約束されていないと言える。
イベント運営
これは定義がひどく曖昧だ。
esportsを専門にイベントを開催している会社なのか?(そんな会社はあるのか分からないが・・)
数ある事業のうち、僅か1、2件のみがesports関連なのか?
はたまた、esportsイベントの設営の派遣会社も含まれるのか?
一番上以外では、この学科・学校を選ぶ意味が感じられない・・・
実況・解説
正直、一番難易度が高い。
現在の大会の実況解説を振り返ってみよう。
大体は元プロ、大手ストリーマー、インフルエンサー、アナウンサー、芸能人と言った具合だ。
実力もキャリアも卒業しただけでは足りないのだ。
アナリスト
esportsの中でも新しい立ち位置の為、母数が極めて少ない。
元プロの場合が多いが、そうではない場合もある。
基本的にはタイトルのesports界隈との太いパイプが必要と思われる。
これは各学科・学校のコネにもよるが、非常に困難であることは想像に難くない。
ゲームプランナー
この職業に就くには、圧倒的にゲームプランナー専門の学校に通っている方が有利だ。
何よりもゲーム制作の経験が重要なだからだ。
それでもesports学科・学校から日本でも世界に通用するesportsタイトルと作りたいと言う志を抱き、プランナーの道に進むという者は是非とも聞いて欲しい。
大手ゲーム会社のプランナーはesportsを意識したタイトルを作る気は無い。人が集まるタイトルがesportsとなると考えているからだ。
最近までプランナーと話す機会があった私が言うんだから間違いは無い。
進路総括
何度も言うが今のesports市場に雇用枠は僅かしかない。
出来たばかりの為か未知数だが、成れない稼げない現実に無謀な希望を与えているのは間違いない。
頼むから「流行り」と言う理由だけで、下手に若者の将来を無責任に扱わないでくれ。
学科・学校側は金の対価に何を授けるのだろうか・・・
どこまでの生徒をサポートをするのか非常に見物である。
筆者流のesports教育アイデア
その名も【esports短期留学】!!
- 国籍の違う若者が数名集まって1チームを作る。(合計10チームほど作る)
- チームメイトは海外(参加者の母国ではない)の同じゲーミングハウスで生活する。
※英語圏が望ましい - 留学スケジュール終盤に全チーム参加の大会を開催する。(賞金付き)
背景
一つ目
前述にもある様に日本は海外勢との対戦回数が少ない。トッププロでも世界大会に出場する時以外はあまり機会がない。
こうした日本のesportsを極めたい若者に、海外のプレイヤーとの対戦の機会を与えることが一つ目の目的だ。
二つ目
日本人は英語力よりも【英語】を話そうとする力に乏しい。
それ故に野良でのマッチでも海外勢は敬遠し、折角関わりを持った海外勢とも一度きりの関係になってしまっている。
否が応にも英語を使う環境(海外and外国人とチームを組んで共同生活を送る)を用意する。
結果、多少の英語力と臆せずに英語でコミュニケーションを図ろうする力の体得が見込める。
また仲良くなったチームメイトを通して、海外勢と積極的に関わることができる。(海外勢との練習頻度増加&海外発の情報を早期獲得)
短期留学であるメリット
- 学校での英会話授業よりも実践的な英語を学ぶことができる。
- 短期の為、学生は長期休みなどで比較的気軽に参加しやすい。(esportsを学びたいが、専門学校には将来的な不安を感じている若者など)
- 専門学校よりも金銭面の負担が少ない。
最終的に得られるモノ
- 海外のプレイヤーと対戦する機会。
- 若者が生きた外国語を使う機会(チームand海外生活での会話)
- 海外のプレイヤーとのコネクション
- 卓越した技術を持つプレイヤーの選択肢を増やす。(英語コミュニケーションを通じて海外プロチームに入団など)