今回はForbesによる「2020年最も市場価値が高いeスポーツチーム」という記事を紹介し、そこから見える2020年のeスポーツビジネスの特徴と傾向に触れていく。
【YouTube】2020年市場価値が高いeスポーツチームTOP10!!その特徴と傾向とは!?
はじめに
上記の記事を参考に、世界のeスポーツチームの市場価値や推定収益をランキング形式でまとめた。
ランキング
1位 Team SoloMid
- 市場価値: $410 million(約426億円)
- 1年間での変化: 3%
- 推定収益: $45 million(約47億円)
- 収益の内のeスポーツの比率: 50%
- フランチャイズ化したチーム: LCS – TSM
- 非フランチャイズチーム: Apex Legends, Fortnite, Icon Influencers, Magic the Gathering, PUBG, PUBG Mobile, Rainbow 6, Super Smash Bros, Team Fight Tactics, Valorant
TSMの推定収益の内、約50%はeスポーツタイトルの攻略・分析ツールBlitzからの収入であると言われている。
2位 Cloud9
- 市場価値: $350 million(約364億円)
- 1年間での変化: -13%
- 推定収益: $30 million(約31億円)
- 収益の内のeスポーツの比率: 70%
- フランチャイズ化したチーム: LCS – Cloud9, OWL – London Spitfire
- 非フランチャイズチーム: CS:GO, Fortnite, Halo, Hearthstone, Rainbow 6, Super Smash Bros, Teamfight Tactics, Valorant, World of Warcraft
3位 Team Liquid
- 市場価値: $310 million(約322億円)
- 1年間での変化: -3%
- 推定収益: $28 million(約29億円)
- 収益の内のeスポーツの比率: 89%
- フランチャイズ化したチーム: LCS – Team Liquid
- 非フランチャイズチーム: CS:GO, Dota 2, Fortnite, Hearthstone, PUBG, Rainbow 6, Super Smash Bros, StarCraft II, Valorant
4位 FaZe Clan
- 市場価値: $305 million(約317億円)
- 1年間の変化: 27%
- 推定収益: $40 million(約41億円)
- 収益内のeスポーツの比率: 20%
- フランチャイズ化したチーム: CDL – Atlanta FaZe
- 非フランチャイズチーム: CS:GO, FIFA, Fortnite, PUBG, Rainbow 6, Valorant
5位 100Thieves
- 市場価値: $190 million(約198億円)
- 1年間の変化: 19%
- 推定収益: $16 million(約16億円)
- 収益内のeスポーツの比率: 35%
- フランチャイズ化したチーム: LCS – 100 Thieves, CDL – Los Angeles Thieves
- 非フランチャイズチーム: Fortnite, Valorant
6位 Gen.G
- 市場価値: $185 million(約192億円)
- 1年間の変化: 0%
- 推定収益: $14 million(約15億円)
- 収益内におけるeスポーツの比率: 75%
- フランチャイズ化したチーム: LCK – Gen.G, NBA 2K League -Shanghai, OWL – Seoul Dynasty
- 非フランチャイズチーム: Fortnite (Team Bumble), Overwatch Contenders, PUBG, Valorant
7位 Enthusiast Gaming
- 市場価値: $180 million(約187億円)
- 1年間の変化: NR
- 推定収益: $95 million(約99億円)
- 収益内におけるeスポーツの比率: 6%
- フランチャイズ化したチーム: CDL – Seattle Surge, OWL – Vancouver Titans
- 非フランチャイズチーム: Apex, Fortnite, Madden, Valorant
8位 G2 Esports
- 市場価値: $175 million(約182億円)
- 1年間の変化: 6%
- 推定収益: $19 million(約20億円)
- 収益内におけるeスポーツの比率: 80%
- フランチャイズ化したチーム: League of Legends European Championship – G2
- 非フランチャイズチーム: CS:GO, Fortnite, Hearthstone, Rainbow 6, Rocket League, Sim Racing Valorant
9位 NRG Esports
- 市場価値: $155 million(約161億円)
- 1年間の変化: 3%
- 推定収益: $20 million(約21億円)
- 収益内におけるeスポーツの比率: 25%
- フランチャイズ化したチーム: CDL – OpTic Chicago, OWL – San Francisco Shock
- 非フランチャイズチーム: Apex Legends, Fortnite, Rocket League, Valorant
10位 T1
- 市場価値: $150 million(約156億円)
- 1年間の変化: NR
- 推定収益: $15 million(約16億円)
- 収益内おけるeスポーツの比率: 60%
- フランチャイズ化したチーム: League of Legends Champions Korea – T1
- 非フランチャイズチーム: Apex Legends, Dota 2, Fortnite, Hearthstone, Overwatch Contenders, PUBG
特徴
コロナウイルスに足を引っ張られた2020年
今回参考にした上記の記事によると、2019年のトップ10のチームは平均的におよそ54%成長していたのにも関わらず、2020年はほとんど横ばいの状態であった。この原因はコロナウイルスによって、オフラインイベントの開催がほとんど中止になったため、商品販売(グッズなど)の減益、放映権やスポンサーシップが少なくなったことによるとされている。
オンラインストアなどもあるものの、やはりグッズ販売の収益の多くは、大会などのオフラインイベントに依存している部分が大きいことが読み取れる。
ストリーマーを起点にカジュアルへ広がっていく傾向
成長率(1年間の変化)が軒並み減退している中でも、高水準を保っている100ThievesとFaZe Clan、そして今回はじめてランクインを果たしたEnthusiast Gamingは注目すべきだろう。
この3つのチームは競技シーンでも結果を残しているものの、ストリーマー部門への比重のかけ方が大きい。UUUMのようなSNS上のタレント事務所の役割を担っていることも多い。
100Thievesは「Netflix」でeスポーツの活動が特集されたり、バスケットボールを使った動画を投稿しているYouTuber「2HYPE」と契約するなどの活動を行っている。
FaZe clanはTwitchで最も多くの購読者を抱えるNickmercsが所属していたり、ソーシャルプラットフォームのフォロワーは合計2億3千万人以上いる。
Enthusiast Gamingが今回ランクインした一番の要因は、かつてはShroudやMrBeastが所属しており、現在でもSidemenやPokimaneなどの大物ストリーマーや動画投稿者が所属しているプラットフォームであるOmnia Mediaを買収したことによる。
つまりは、ゲームを起点に、隣接する「動画・ライブ配信プラットフォーム」といったゲームの外側へのアプローチをしている企業の方が、現状恒常的な成長が見込めるということだ。
更に簡単に言えば、eスポーツをゲーム競技だけでなく、ゲームを使ったエンターテイメント全体を含む捉え方をしたアプローチが大切であるということだ。
強さが必ずしも利益を生むわけではない
今年League of Legendsの世界大会で優勝した「DAMWON」、R6Sの世界大会で優勝した「Spacestation Gaming」、Esports Awardで表彰され、多くのタイトルで活躍した「G2esports」などが最上位には入れないことからも、強さだけではビジネスとしては成功しないことが分かる。
その強さを如何にブランド力に変え、集客できるかが強いチームがビジネス面でも強くなるには必要であることが今回の結果からは読み取れる。
終わりに
必ずしも日本の市場に当てはまるわけではないが、参考にはなると思うので、今後もビジネスの面から捉えるeスポーツも見方も積極的にお届けしていきたい。