米津玄師のライブを開催するなど、「Fortnite」が踏み出した革新的なゲームの在り方を特集していくと共に、これからの「Fortnite」の戦略と課題に触れていく。
はじめに
2020年8月7日に米津玄師が「Fortnite」でライブを行うことが発表され、大きな注目を集めている。
ここで多く人は疑問に思うだろう。「Fortnite」ってゲームじゃないの?と。
そこで今回は、「Fortnite」が踏み出した革新的なゲームの在り方を特集していくと共に、これからの「Fortnite」の戦略と課題に触れていく。
コンサート
概要
Fortniteを会場にコンサートを行うというモノだ。この試みは2019年に自身もプレイヤーであった「marshmello」がフォートナイト内でコンサートを行ったことから始まった。コロナショックの影響からかエンターテイメント自体が自宅でも楽しめるようにシフトしていった結果、Fortniteでコンサートが開かれることが頻繁になった。
実際どういったものなのか文章では伝わらないとは思うので、上記の動画を見てほしい。動画は世界的ラッパーの「Travis Scott」のコンサートの様子だ。アーティストのパフォーマンスだけでなく、ゲームでしか表現できない演出と相まって独特で魅力的なコンテンツとなっている。
参加方法
- 「Fortnite」をダウンロードする。(手軽に楽しみたいなら「Android」や「iOS」でダウンロードするのもアリ!!)
- ゲームモードを「パーティーロイヤル」に変更する。
- ゲームフィールドのメインステージに移動する。
一人でも、フレンドと一緒でも参加できる。
過去の出演アーティスト一覧
- marshmello
- Travis Scott
- Dillon Francis
- Steve Aoki
- deadmau5
- Diplo(2回参加)
- Young Thug
- Noah Cyrus
- Kenshi Yonezu(米津玄師)
名だたる面々であることが分かる。そしてほとんどが「DJ」であることも注目すべき点だろう。DJがゲーマーであることやゲーム関連イベントに出演することをよく耳にするので、DJ文化とゲーム文化には何か惹かれあうものがあるように感じる。もちろん彼らの音楽が世界的に流行っているので、起用したいというFortnite側の戦略的な意味合いも含まれるのは間違いない。
こうしたDJが多かった流れとは打って変わって、米津玄師がどういったパフォーマンスを見せてくれるのか非常に楽しみだ。また、これは「Epic Games」ないし、「Fortnite」が如何に日本市場を重視しているかを示すモノである。
映画
概要
ゲームの世界の中で映画を見るという新しいエンターテイメントの試みである。
ゲーム内の特定の場所に巨大なスクリーンが設置され、人々は操作するキャラクターを通して映画を見ることができるといったモノだ。エモートの使用やボイスチャットでの会話などゲームならではの楽しみ方ができる。実はまだテスト段階であり、今後放映できるタイトルや言語の数を増やしていく予定だ。
一部映画視聴権利がバトルパスに含まれるようになれば、面白いように感じる。
作品一覧
- Inception
- Batman Begins
- The Prestige
- TENET(トレーラームービーのみ)
Christopher Nolan監督の3作品が上映された。今年の9月に上映開始となる「TENET」に向けた宣伝的意味合いを持つのだろう。複雑な権利の関係上、各地域で一つのタイトルだけが放映されることとなった。オーストラリアなど一部地域では、同じく権利の利用から放映することができなかった。日本では「Inception」を見ることができた。
ディスカッション
概要
最も注目すべきは社会問題に関しての講演や話し合いの場所としても利用され始めている点だろう。世界的に問題となっている「黒人差別」などの人種差別に関しての講演や話し合いの場が提供されている。社会情勢に多くの人が触れ、自分の意見を持つことに多少は貢献するように感じる。こうした試みを続けるのであれば、多種多様な問題に触れてほしいと個人的には思う。ただ、トピック選びや、清い話し合いの場を作るのは難易度がかなり高いだろう。
イベント一覧
- We The People
- We the People x More Than A Vote
共に人種差別とテーマだ。被差別側の多様なゲストが差別のある現社会をどう変えていくかについて話し合っている。前者はメディア、文化、エンターテイメントの分野で、全体に根差す構造的な人種差別について、後者は黒人コミュニティが受けている投票妨害について展開されている。
最近の動向
ソニーが多額の出資
2020年7月10日にソニー株式会社は完全子会社のSony Corporation of Americaを通じて、2.5億米ドル(約268億円)の出資を行った。これから本出資を行う予定。
つまり、両者間でのお金の動きはこれから更に活発になっていく。
ソニーとEpic Gamesの最近の関わり
Epic Gamesが開発している次世代ゲームエンジン「Unreal Engine 5」は、PS5を使ってデモを行っている。
ちなみに米津玄師の所属レーベルは「SME Records(ソニーの子会社)」である。
Epic GamesのCEOのコメント
「ソニーとEpicは両社ともクリエイティビティとテクノロジーが交わる分野でビジネスをしており、ゲーム、映画、音楽を融合させるリアルタイム3Dソーシャルエクスペリエンスに関するビジョンを共有しています。私たちは協力して、すべてのユーザーとコンテンツクリエイターに向けて、よりオープンでアクセスしやすいデジタルエコシステムの構築をめざします。」
Epic Games, Inc. ファウンダー CEO ティム・スウィーニーのコメント
この発言と現在の試みを照らし合わせて分かるように、Fortniteは「ゲーム、映画、音楽を融合させるリアルタイム3Dソーシャルエクスペリエンス」へと向かっていることが分かる。簡単に言えば、自身のアバターを使って色々なエンターテイメントに触れられるプラットフォームを目指しているということだ。
チーター問題
そんな革新的な試みの裏側で、「Fortnite」はカジュアルなゲームだけでなく、eスポーツ分野までチート被害が続出している。
この記事は、プロ選手が同じチームに所属する選手がチートを使っていることを告発したという内容だ。これによって「他のプロ選手もチートを使っているのではないか?」と疑心暗鬼の状態が広がっている。
もちろん音楽や映画をゲームに融合し、新たなエンターテイメントを作るのは素晴らしいことだ。
しかし「Fortnite」の根本はゲームであることを忘れず、チート問題などをまずは解決しなければいけないはずだ。