今回は「配信技研」の2020年Q3のデータを元に、日本のゲーム配信市場を世界と比較しつつ、特徴や傾向を分析した。
【YouTube】ゲーム配信で成功する為に!! ランキングから世界と日本の配信市場の動向に迫る!!
2020年Q1~Q2のゲーム配信市場動向
情報ソース
・ランキングの指標は、平均同時接続数ではなく総再生時間。
・ゲーム以外の配信時間は含まれない。
7月のランキング
タイトル
- Apex Legends
- eBASEBALLパワフルプロ野球2020
- Minecraft
- Dead by Daylight
- フォートナイト
- Shadowverse
- ARK: Survival Evolved
- VALORANT
- リーグ・オブ・レジェンド
- あつまれ どうぶつの森
- Ghost of Tsushima
- PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
- IdentityV 第五人格
- モンスターストライク
- Getting Over It with Bennett Foddy
- 荒野行動
- ポケットモンスター ソード・シールド
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- The Last of Us Part II
- スプラトゥーン2
配信者
- jun channel
- kuzuha channel
- fps_shaka
- アイドルマスターチャンネル
- stylishnoob4
- 渋谷ハル
- pekora ch. 兎田ぺこら
- モンスト(モンスターストライク)公式
- むてきまるちゃんねる -mutekimaru channel-
- 勇気ちひろ
- korone ch. 戌神ころね
- spygea
- kato_junichi0817
- 兄者弟者
- kinako
- yamatonjp
- watame ch. 角巻わため
- 夜見れな/yorumi rena【にじさんじ所属】
- hekokitaiworld
- 狩野英孝【公式チャンネル】eiko!go!!
8月のランキング
タイトル
- Apex Legends
- eBASEBALLパワフルプロ野球2020
- Fall Guys: Ultimate Knockout
- Minecraft
- フォートナイト
- ARK: Survival Evolved
- Dead by Daylight
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- VALORANT
- IdentityV 第五人格
- リーグ・オブ・レジェンド
- ポケットモンスター ブラック・ホワイト
- 荒野行動
- スーパーマリオメーカー2
- スプラトゥーン2
- 世界のアソビ大全51
- Shadowverse
- あつまれ どうぶつの森
- Fate/Grand Order
- モンスターストライク
配信者
- jun channel
- 渋谷ハル
- pekora ch. 兎田ぺこら
- fps_shaka
- rtainjapan
- kuzuha channel
- 舞元啓介
- 勇気ちひろ
- korone ch. 戌神ころね
- stylishnoob4
- aqua ch. 湊あくあ
- kato_junichi0817
- 兄者弟者
- むてきまるちゃんねる -mutekimaru channel-
- watame ch. 角巻わため
- 笹木咲 / sasaki saku
- 本間ひまわり – himawari honma –
- リゼ・ヘルエスタ -lize helesta-
- 社築
- coco ch. 桐生ココ
9月のランキング
タイトル
- Apex Legends
- Minecraft
- Fall Guys: Ultimate Knockout
- Dead by Daylight
- フォートナイト
- リーグ・オブ・レジェンド
- eBASEBALLパワフルプロ野球2020
- IdentityV 第五人格
- VALORANT
- Shadowverse
- PlayerUnknown’s Battlegrounds
- ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険3 ~不思議のダンジョン~
- クラフトピア – Craftopia
- 荒野行動
- ポケットモンスター ソード・シールド
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- スーパーマリオメーカー 2
- LOST ARK
- アイドルマスター シンデレラガールズ
- あつまれ どうぶつの森
配信者
- jun channel
- stylishnoob4
- fps_shaka
- pekora ch. 兎田ぺこら
- 渋谷ハル
- kuzuha channel
- 兄者弟者
- kato_junichi0817
- 勇気ちひろ
- アイドルマスターチャンネル
- korone ch. 戌神ころね
- riotgamesjp
- アルス・アルマル -ars almal- 【にじさんじ】
- kinako
- flare ch. 不知火フレア
- yaritaiji
- rushia ch. 潤羽るしあ
- 鈴原るる【にじさんじ所属】
- もこうの実況
- spygea
eスポーツタイトルの分析
7月 | 8月 | 9月 | |
Apex Legends | 1位 | 1位 | 1位 |
フォートナイト | 5位 | 5位 | 5位 |
VALORANT | 8位 | 9位 | 9位 |
リーグ・オブ・レジェンド | 9位 | 11位 | 6位 |
スプラトゥーン2 | 20位 | 15位 | – |
Shadowverse | 6位 | 17位 | 10位 |
PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS | 12位 | – | 11位 |
荒野行動 | 16位 | 13位 | 14位 |
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL | 18位 | 8位 | 16位 |
Apex Legendsの圧倒的人気
何よりも注目すべきはApex Legendsだろう。Q2の5月からずっとぶっちぎりの1位を記録している。シーズンの切り替え、アップデート、有名人が集った大型大会など話題に事欠かない。日本においてある程度盤石な地位を築いたといえるだろう。チート対策が本格的になされている訳でもないのに未だにここまで多くの人を集められるとすると、逆にどんなことをすると人が離れていくのか気になるものだ。
しかし海外の人気は下がりっぱなしである。特に衝撃を受けたのは、日本でも知られている世界的Apex Legendsのプロプレイヤー「Albralelie」がVALORANTに転向することを発表したことだ。その理由はApex Legndsの先行きの不安からである。世界的トッププロも不安感を覚え、シーンから去るほどの状況なのである。
日本のApex Legends市場がどこまでやれるのかは見どころである。Q4はまだ問題ないと思うが、正念場は来年のQ1後半からQ2にかけてだ。
安定感はあるが徐々に後退しているタイトルが多い
Apex Legends以外のタイトルは、Q2と比べて徐々に順位を落としている。20位以内のタイトルは軒並みランクダウンしている。しかし、これは日本だけの傾向ではなく世界的な傾向である。世界でもLeague of LegendsやFortnite以外がランクを落としている。
では逆にどんなタイトルが上昇しているのか?これを把握することが重要である。
日本では「Minecraft」「Fall Guys」「Dead by Daylight」が、世界では「Among Us」「Fallguys」「Minecraft」「GTA 5」が上昇している。
つまり、カジュアル向けのパーティーゲームやオープンワールド系のタイトルが好まれる比率が高くなっているのだ。コロナショック以降、eスポーツタイトルの視聴人口は確かに増えたが、それ以上にカジュアル層が増えたことを意味している。今後しばらくはこの傾向が続くと考えている。
また、eスポーツタイトルに関しては「PUBG mobile」や「Free Fire」などモバイルタイトルのランクインが増えてきている。
海外タイトルと日本タイトルの割合
7月 | 8月 | 9月 | |
海外タイトル | 13個 | 10個 | 11個 |
日本タイトル | 7個 | 10個 | 9個 |
少し海外タイトルの方が多い程度で基本的に割合は半々である。しかし、注目すべきはランキング内の分布である。Q3ではトップ10の7~9割が海外タイトルである。こと配信においては、日本でも海外タイトルの方が向いていると言えるだろう。
Q3でランクインしている日本タイトルの多くは、ごく少数の特定の配信者が多く人を集めた結果によるものである。残念ながら日本タイトルは多くの配信者によって継続的に配信されない傾向にある。日本タイトルの1か月毎の入れ替わりの激しさから見ても分かるだろう。
消費の速度が加速していることも影響しているだろうが、もしかしたら日本は継続的に遊ばれるタイトル作りが苦手なのかもしれない。「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」や「あつまれ どうぶつの森」以外、継続的にランクインしているタイトルがないことからもいえるだろう。
配信規約の厳格さも関係しているだろう。海外タイトルは基本的にストーリー重視のものであろうが配信の制限は少ない。それに対して、日本のタイトルは基本的にほとんどが制限されている。今までは基本的にグレーであり見逃されてきたが、2020年に入り営利団体による無許可でのゲーム配信が活発になったことで、グレーからブラックにせざるを得なくなったのだ。
⇩各ゲーム会社の配信規約は以下を参考に⇩
配信者の分析
7月 | 8月 | 9月 | |
VTuber | 7人 | 13人 | 9人 |
プロゲーマー | 4人 | 2人 | 4人 |
芸能人 | 1人 | 0人 | 0人 |
ゲーム会社・公式 | 2社 | 1社 | 2社 |
その他(ゲーム実況者) | 6人 | 4人 | 5人 |
にじさんじ、ホロライブ、DeToNator 4BR、加藤純一、兄者弟者など、顔ぶれは固定されてきている。そして相変わらずVTuberの力が強い。
また、VTuberやモーションキャプチャーへの関心は海外でも高まっている。有名Twitchストリーマーの「pokimane」はアニメ調のキャラクターで配信をする時があり、ホロライブの英語圏支部の人気も非常に高い。
狩野英孝など芸能人も配信において高い同時接続数を維持しているが、本業の活動もあるため、本業の人達を配信頻度で上回ることは難しい。この点を考えると、1回の配信時間の長さも重要だが、配信頻度が高いことも上位に食い込むためには必要だ。
配信時間から見える特徴
7月 | 8月 | 9月 | |
平均配信時間 | 155時間 | 92時間 | 104時間 |
最長配信時間 | 383時間 | 734時間 | 273時間 |
最短配信時間 | 17時間 | 28時間 | 31時間 |
ランキング上位配信者の配信時間は徐々に減ってきている。(8月の最長配信時間は魚の動きに合わせてポケモンをクリアする配信なので、他の配信時間とは少し異なる)
このことから分かるのは、配信時間あたりの視聴者数が増加しているということである。上位の配信者は以前ほど長時間配信をしなくても、人が集まるようになってきたと考えられる。(それでも常識的に考えれば配信時間はまだまだ多いのだが…)
この現象には一長一短がある。長時間配信による健康に対する懸念が少し薄れる一方で、上位配信者に視聴者が集中し下位配信者が這い上がることが難しくなったともいえる。
配信者の運命
ライブ配信は動画投稿とは異なり、話す量が要求されカットもできない。そのためかなり気を張らないと失言のリスクが高まる。そして些細な失言が大問題に発展し、謹慎にまで繋がるケースが多々ある。市場が拡大した分、色々なものの見方をする人が増えてきたからだろう。
そして、この謹慎処分について「数週間や数か月の謹慎処分に何の意味があるの?軽くない?」と考える人は多いだろう。
しかし、よく考えてみてほしい。現在のゲーム配信市場は、数年かけて作ったゲームが僅か数週間で消費される世界だ。不在の期間に大きなチャンスを逃すことも、市場が激変することもある。数週間離れただけ浦島太郎状態になり得るのだ。それに配信者としての旬がある。このように考えると非常に重い処分だと思う。
とはいえ、失言を恐れるあまりに真面目な配信になってしまっては、今度は伸びない可能性もある。人間、ある程度の毒はむしろ好きだからだ。つまりは超えてはいけない一線を意識した上での絶妙なアグレッシブさが求められるという訳だ。そう考えるとやはり過酷な仕事だといえるだろう。
終わりに
今回は2020年Q3のゲーム配信の動向をまとめてみた。Q3では、Q1やQ2で現れ始めていた特徴が色濃くなった。
次のQ4では年末商戦などが重なり、非常に多くのゲームタイトルや次世代ハードがリリースされる。もちろんこの影響はゲーム配信界隈に及ぶ。要注目である。