今回は「配信技研」のデータを元に、日本のゲームと配信の特徴や構造を分析した。
配信技研
※ランキングの指標は平均同時接続数ではなく、総再生時間であること。
※ゲーム以外の配信時間は含まれない。
4月のランキング
タイトル
- あつまれ どうぶつの森
- ARK: Survival Evolved
- Apex Legends
- Minecraft
- フォートナイト
- バイオハザード RE:3
- FINAL FANTASY VII REMAKE
- リーグ・オブ・レジェンド
- Shadowverse
- 荒野行動
- Dead by Daylight
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
- IdentityV 第五人格
- スプラトゥーン2
- STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION
- モンスターストライク
- ハースストーン
- Escape from Tarkov
- ダークソウルIII
配信者
- jun channel
- kuzuha channel
- stylishnoob4
- fps_shaka
- pekora ch. 兎田ぺこら
- 兄者弟者
- korone ch. 戌神ころね
- 鈴原るる【にじさんじ所属】
- 舞元啓介
- ももたろ
- フブキch。白上フブキ
- coco ch. 桐生ココ
- spygea
- miko ch. さくらみこ
- marine ch. 宝鐘マリン
- さとみ
- kanae channel
- 渋谷ハジメのはじめ支部
- ruytv
- 中川翔子の「ヲ」
5月のランキング
タイトル
- Apex Legends
- あつまれ どうぶつの森
- フォートナイト
- Dead by Daylight
- スプラトゥーン2
- リーグ・オブ・レジェンド
- VALORANT
- Minecraft
- IdentityV 第五人格
- 荒野行動
- PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
- Shadowverse
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- ARK: Survival Evolved
- ドラゴンクエストV 天空の花嫁
- Jump King
- マリオカート8 デラックス
- ポケットモンスター ソード・シールド
- モンスターストライク
- アイドルマスター シャイニーカラーズ
配信者
- pekora ch. 兎田ぺこら
- jun channel
- fps_shaka
- stylishnoob4
- korone ch. 戌神ころね
- kuzuha channel
- aqua ch. 湊あくあ
- 兄者弟者
- graham channel
- 勇気ちひろ
- spygea
- marine ch. 宝鐘マリン
- yaritaiji
- 渋谷ハル
- coco ch. 桐生ココ
- riotgamesjp
- 本間ひまわり – himawari honma –
- ももたろ
- miko ch. さくらみこ
- ruytv
6月のランキング
タイトル
- Apex Legends
- Dead by Daylight
- フォートナイト
- VALORANT
- Minecraft
- あつまれ どうぶつの森
- リーグ・オブ・レジェンド
- スプラトゥーン2
- 世界のアソビ大全51
- Shadowverse
- PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
- ポケットモンスター ソード・シールド
- ARK: Survival Evolved
- IdentityV 第五人格
- 荒野行動
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ
- モンスターストライク
- アイドルマスター シャイニーカラーズ
- グランブルーファンタジー
配信者
- jun channel
- fps_shaka
- stylishnoob4
- pekora ch. 兎田ぺこら
- 渋谷ハル
- spygea
- 兄者弟者
- kuzuha channel
- korone ch. 戌神ころね
- riotgamesjp
- 鈴原るる【にじさんじ所属】
- bandai namco entertainment live
- miko ch. さくらみこ
- yamatonjp
- yaritaiji
- 夜見れな/yorumi rena【にじさんじ所属】
- 勇気ちひろ
- オデビル’
- 月ノ美兎
- 社築
eスポーツタイトルに絞ってみると
4~6月のタイトル別ランキングからeスポーツタイトルに絞ると、以下のようになった。
4月 | 5月 | 6月 | |
Apex Legends | 3位 | 1位 | 1位 |
フォートナイト | 5位 | 3位 | 3位 |
VALORANT | – | 7位 | 4位 |
リーグ・オブ・レジェンド | 8位 | 6位 | 7位 |
スプラトゥーン2 | 15位 | 5位 | 8位 |
Shadowverse | 9位 | 12位 | 10位 |
PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS | 13位 | 11位 | 11位 |
荒野行動 | 10位 | 10位 | 15位 |
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL | 12位 | 13位 | 16位 |
注目ポイント
Apex Legends
4~6月の期間の中で最も人気だったのは「Apex Legends」で間違いないだろう。配信者ランキングの上位陣もこぞってプレイしていた。5、6月ほどの勢いこそないものの7月も多く配信され、人も多く集めている。
コロナの自粛期間におけるゲーム需要の増加、日本人がバトルロワイアル好き、基本無料、PCの他にゲーム機にも対応している、など様々な要因が重なった結果「Apexバズ」は起きた。
意外な事実として、この現象は日本だけでしか起こっていない。海外勢はこの期間にも「Apex Legends」に戻ってくることはなかった。改善されないチート問題に愛想を尽かしたからだ。そして彼らの多くは「VALORANT」や「CoDMW WARZONE」に走った。つまり世界的に見ると「Apex Legends」はそれほど流行っていない。やはり日本は特殊な市場の様だ。
VALORANT
世界では大小問わずあらゆる配信者が「VALORANT」に飛びついた。日本でも比較的人気はあるが、様相は少し異なる。今回のランキングに載っている上位配信者達は、ほとんど「VALORANT」を配信していない。ではどうして「VALORANT」は上位に位置しているのだろうか?それはeスポーツ界隈がこぞって配信しているからだ。各タイトルのプロから関係者に至るまでほとんどだ。大手と比べると多少数字は劣るが、塵も積もれば山となるという結果なのだ。
eスポーツ界隈以外で感心が薄いのは、PCでしか展開していないことが原因だと思われる。日本はPCでゲームをする人が非常に少ないのだ。
海外タイトルと日本タイトルの割合
4月 | 5月 | 6月 | |
海外タイトル | 11個 | 10個 | 10個 |
日本タイトル | 9個 | 10個 | 10個 |
海外と日本はほぼ半々だ。ただ、4月から6月と日を増すごとに上位は海外タイトルが独占する様になってきている。
ランクインしているタイトルの特徴も海外と日本では少し異なる。海外タイトルは基本的にガチガチのオンライン対戦ゲームがほとんであるが、日本のタイトルはソシャゲか、オンライン対戦要素も含まれるカジュアルな(キャラクター要素の強い)対戦ゲームが多い。そしてほとんどが任天堂が関係しているタイトルだ。
速すぎる消費スピード
期待のリメイク作品であった「FINAL FANTASY VII REMAKE」と「バイオハザード RE:3」は4月こそランキング上位に名を連ねていたが、5月以降はランク外にまで追いやられた。
上記の様な一つのゴールへ向かって進んでいくタイトルは、最近では短期間で消化される傾向にある。その理由は、再生回数や登録者を増やす方法として高頻度・長時間配信が一定の効果を上げているためである。
これらの「一つのゴールに向かう系」は高頻度・長時間配信と危険な程マッチする。視聴者の「先を早く知りたい」という思いと配信者の「再生回数や登録者数を増やしたい」という思いが「タイトルを長時間連続して配信する」という点で重なるからだ。更にリリース当初は世間的な注目も集まっている為、多くの配信者が配信する。こうして短期間で消費されてしまうのだ。
PC版がリリースされた「DEATH STRANDING」や、満を持して配信された「Ghost of Tsushima」も同じ様な運命を辿ることが予想される。
配信者の特徴
4月 | 5月 | 6月 | |
VTuber | 11人 | 10人 | 10人 |
プロゲーマー | 4人 | 5人 | 5人 |
芸能人 | 1人 | 0人 | 0人 |
ゲーム会社 | 0社 | 1社 | 2社 |
その他(ゲーム実況者) | 4人 | 4人 | 3人 |
ランキングの半分はVTuberだ。VTuber大手企業の「ホロライブ」と「にじさんじ」がそのほとんどを占めている。ランキングの残り半分は「DeToNator 4BR」の面々と「加藤純一」や「兄者弟者」などの古参実況者で構成されている。
そしてランキング上位の面々が配信するタイトルが、配信界隈のトレンドになる傾向がある。
具体的な例を挙げるなら現在(7月)の「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」だろう。「加藤純一」をはじめ、DeToNatorの「shaka」や「stylishnoob」、にじさんじの面々などが高い同時視聴者数を記録したことで、他の多くの配信者が手を出し、配信サイトはパワプロで溢れかえっている。間違いなく7月は「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」が「Apex Legends」と肩を並べるだろう。
高頻度・長時間配信が必要
最初に触れたように、このランキングの指標は「平均同時接続数」ではなく、「総再生時間」である。平均同時接続数がトップクラスの「狩野英孝」がランクインをしていないことを考えると、総再生時間の観点では「配信頻度」や「配信時間」が重要だと言える。
「狩野英孝」は、ほぼ2~3日に一度、2~2.5時間配信しているが、決して少ない方ではない。それでもトップ20に入っていないことから、要求される「配信時間」や「配信頻度」はかなり高いことが分かる。
6月のトップ20の平均配信時間は驚異の124.7時間。これは単純計算で一か月間毎日4時間以上配信していることになる。つまり、上位配信者になるには、質もさることながら、「配信時間」や「配信頻度」も高水準に保つ必要もあるようだ。
4月 | 5月 | 6月 | |
平均配信時間 | 132時間 | 136.5時間 | 124.7時間 |
最長配信時間 | 298時間 | 346時間 | 371時間 |
最短配信時間 | 26時間 | 31時間 | 36時間 |
懸念される健康問題
高頻度・長時間配信が総再生時間を伸ばすには必要であることが分かった。しかし、それは精神的にも肉体的にも過酷だ。
配信とゲームの売上の関係
一見、配信で見たなら内容が想像付くから購入する人は逆に少なくなるだろうと思われるかもしれない。確かにストーリー重視の作品はその傾向が少なくともあるだろう。
しかし「オンライン対戦系」「サバイバル系」は配信や動画によって売上が伸びる。一定のゴールが無くいくらでも遊べるので、配信を見た後でも楽しめるからだろう。
特に「VTuber」の影響は強い。「Ark: Survival Evolved」「Muse Dash – Just as planned」「アイドルマスター シャイニーカラーズ」「雀魂」などの売り上げ推移を見ると、彼らの配信後にかなり伸びていることが分かる(Steamでは顕著に現れる)。
「オンライン対戦系」の「PUBG」や「Apex Legends」は配信で知った割合が非常に多く、新型コロナの自粛期間中に「Apex Legends」も日本ではかなり多くの層を取り込んだ。
また一つのゴールに向かって進んでいくタイトルでも、高難易度のタイトルは配信が購入に繋がるケースが多い。フロムソフトウェア系のタイトルや、最近では「Jump King」が配信が盛り上がった後にダウンロード数が伸びていた。「配信ではこんなに苦戦しているけど、実際にはどのくらい難しいんだろう?」という好奇心が購入に繋がっていると思われる。
終わりに
確実に日本の配信市場は伸びている。その分ゲーム与える影響も大きくなっている。
ゲームの売上はもちろんだが、eスポーツなどの関連事業においても、配信の動向には要注目だ。