Ninja氏(ニンジャ)に続いて、遂にTwitch最大手の人気ストリーマーの一人shroud氏(シュラウド)が、2019年10月25日からMixerに電撃移籍した。
その理由は金銭なのか?契約の問題か?ファンの声は?配信プラットフォームに与える影響は?
今回はその真相に迫る!!
Henryのニュース解説
人気ストリーマーshroud氏とは?
2019年10月24日、Twitter人気トレンドにランクインしたshroudとは何者だろうか。
大手配信プラットフォームTwitchにおいて、
- CS-GO(Counter-Strike: Global Offensive)
- PUBG(PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS)
- Apex Legends
などの数多くのFPSやバトルロワイヤルのタイトルをプレイし、天才的なエイムと反射神経で多くの視聴者を魅了したストリーマーだ。
TwitchやYouTubeなどの彼のクリップ動画は100万再生を超えるものがゴロゴロある。
元プロゲーマーでもあり、CS-GOで大手e-sports団体Cloud9に所属し、チームを優勝にも導くなどの好成績を収めている。
Image Credit: shroud – Liquipedia Counter-Strike Wiki
プレイヤーとしてもそうであるが、彼はストリーマーとしても凄腕である。
Twitch時代
- フォロワー数は700万人超
- 総再生数は3億6千万回超
- 平均同時視聴者数は2.5万人
移籍の際にはTwitch側が彼の配信での活躍をまとめた動画を作って見送るなど、彼の人気を語るエピソードは事欠かない。
そんな彼は一説では、Twitchだけでの収益で140万ドル、日本円では2億円だ。更に企業案件やその他の案件もこなしている為、2億円以上は確実に稼いでいる。
好きなゲームで大金を稼ぐ、まさにゲーム配信者の理想像だ。
GLHF, @shroud. pic.twitter.com/lY9NPX63TF
— Twitch (@Twitch) 2019年10月29日
ストリーマーが移籍する理由とは?
今回、Mixerの人気ストリーマー引き抜き戦略によってshroudは移籍することになった。
shroudがこの提案を飲んだその背景には一体何があるのだろうか?
shroudよりも先にMixerに移籍したNinjaの例を参考に考えていこう。
Ninjaの前例
Ninjaのマネージャーは、移籍に関するインタビューの中で、移籍の理由にはTwitchの契約が融通の利かないものであったことやMixerが彼のブランディングに積極的な姿勢を見せたことが主であるとしている。
一説では、Ninjaは移籍の際に年間600万ドル~800万ドルが支払われる契約をしたと言われている。これは日本円で約6.5憶円~約8.6憶円である。上記のshroudのTwitchでの収益と比べても莫大なものである。残念ながら、本人の口からは詳細な額は明言されていないので真実は分からないが、莫大な金銭が動いたと予想できる。
Image Credit: ITmedia NEWS
shroudのその後は?
ファンの思いは二分している。ディープな層は若干の不安を感じつつもMixerの移籍を好意的に受け止めているが、ライトな層はMixerに行ってまでは見ないだろう。それは、Mixerのフォロワー数が現在70万人とTwitch時代の10分の1になっていることや同時視聴者数も1.2万人と減っていることから分かる。これはshroudがMixerで苦戦していることも意味するだろう。
shroud自身のブランドが問われる今後である。
Twitch vs Mixer
両者は共にゲーム専門のライブ配信プラットフォームだ。
- Twitch 2011年に設立され、現在はAmazon傘下
- Mixer 2016年にMicrosoftによって設立
現在は配信プラットフォーム戦国時代である。どの会社も覇権を握る為に奮闘している。
遂に8月、この二社の均衡は破られた。
Twitch人気ストリーマーNinjaのMixerへの移籍だ。
Ninja移籍の影響
この結果、Streamlabsの最新のデータでは、Mixerは総ストリーミング時間において第二四半期だけで188%(1,100時間から3,200時間)の成長したという結果がでた。しかし、総視聴時間は1億時間から9,000万時間へと減少していた。
一方、Twitchは第二四半期で、総ストリーミング時間が8,900万時間から8,700万時間へと減少したが、総視聴時間は24億時間から25億時間へと増加している。
Mixerの戦略の行方
ストリーミング時間が大幅に増加していることからMixerの引き抜き戦略は成功していると言えるだろう。10月のshroudの移籍も更なる増加に繋がるだろう。
ただし視聴時間の減少は、視聴者が既存の配信からNinjaやshroudに移っていることを意味している。当然一部のユーザーからは、この特別扱いに対して不満も出てきている。Mixerの既存の配信者は不利益を被り、Mixerは二人に依存する危険な状態であるのだ。もし他社が彼らの引き抜きを行ったら、Mixerは耐えきれないだろう。
Twitchへの影響
一方でTwitchは多少ストリーミング時間が減少したが、視聴時間はNinja移籍後も増加している。
これは配信者と視聴者がうまい具合に分散していることと、ゲーム配信プラットフォームとしてのブランディングにおいて一歩リードしていることを意味する。
つまりは、大手ストリーマーが引き抜かれてもTwitchは想像よりもダメージは受けていないということだ。
配信プラットフォーム戦争へ
しかし、Twitchも油断は出来ない。Fortniteの配信で有名なCouRage氏もYouTubeへの移籍を決めるなど、引き抜きは加速しているからだ。
I’m excited for @CouRageJD to fully invest his time into YouTube. The combination of being able to live stream and upload on the platform will accelerate his growth. We’re committed to being the leader in live streaming, and giving all Gamers a world class experience on YouTube! https://t.co/gQ4jEAQ9te
— Ryan Wyatt (@Fwiz) November 4, 2019
最後に
Twitch、Mixer、YouTubeなどが巻き起こす配信プラットフォーム戦争だが、裏を返せばAmazon、Microsoft、Googleなどの世界的大企業が躍起になる程、ゲーム配信業界は明るいということだ。
ストリーマーにとって、プラットフォームの選択はより重要になってくるだろう。
千変万化のゲーム配信業界から、ますます目が離せない。