今回は2020年のモバイルゲームの売上ランキングを紹介し、そこから見える特徴と傾向を詳細にまとめた。
【YouTube】全世界モバイルゲーム売上ランキング!!世界のトレンドがまるわかり!![2020年版]
参考サイト
指標
中国やその他の地域のサードパーティーによるストアの収益は含んでいない。App StoreとGoogle Playが主となる。
ランキング紹介
2020年 1月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- AFK Arena
Google Play 売上ベスト3
- Lineage 2M
- Candy Crush Saga
- Coin Master
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Candy Crush Saga
2020年 2月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- AFK Arena
Google Play 売上ベスト3
- Monster Strike
- Coin Master
- Lineage 2M
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Monster Strike
2020年 3月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- AFK Arena
Google Play 売上ベスト3
- Monster Strike
- Lineage 2M
- Coin Master
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Monster Strike
2020年 4月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Roblox
Google Play 売上ベスト3
- Coin Master
- Lineage 2M
- Gardenscapes
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Roblox
2020年 5月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Three Kingdoms Strategic
Google Play 売上ベスト3
- Coin Master
- Lineage 2M
- Monster Strike
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Roblox
2020年 6月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Roblox
Google Play 売上ベスト3
- Lineage 2M
- Monster Strike
- Coin Master
全体売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Monster Strike
2020年 7月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Roblox
Google Play 売上ベスト3
- Monster Strike
- Lineage M
- Pokemon GO
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Monster Strike
2020年 8月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Pokemon GO
Google Play 売上ベスト3
- Fate/Grand Order
- Lineage M
- Pokemon GO
全体売上ベスト3
- PUBG Mobile
- Honor of Kings
- Fate/Grand Order
2020年 9月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Three Kingdoms Strategic
Google Play 売上ベスト3
- Coin Master
- Lineage M
- Pokemon GO
全体売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Coin Master
2020年 10月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Genshin Impact
Google Play 売上ベスト3
- Genshin Impact
- Coin Master
- Pokemon GO
全体売上ベスト3
- Genshin Impact
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
2020年 11月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Moonlight Blade
Google Play 売上ベスト3
- Coin Master
- Genshin Impact
- Lineage M
全体売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Genshin Impact
2020年 12月の売上ランキング
App Store 売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Genshin Impact
Google Play 売上ベスト3
- Pokemon GO
- Coin Master
- Lineage M
全体売上ベスト3
- Honor of Kings
- PUBG Mobile
- Genshin Impact
モバイルゲーム売上ランキング推移
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
PUBG Mobile | 1位 | 1位 | 1位 | 1位 | 1位 | 2位 | 1位 | 1位 | 2位 | 3位 | 2位 | 2位 |
Honor of Kings | 2位 | 2位 | 2位 | 2位 | 2位 | 1位 | 2位 | 2位 | 1位 | 2位 | 1位 | 1位 |
Clash of Clans | 5位 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | |
Candy Crush Saga | 3位 | 6位 | 5位 | 8位 | ー | ー | ー | ー | 8位 | ー | 10位 | |
Roblox | 9位 | ー | 10位 | 3位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 6位 | 7位 | 7位 | 5位 |
Fate/Grand Order | 6位 | ー | 9位 | 6位 | 10位 | 10位 | 6位 | 3位 | ー | ー | ー | 7位 |
Gardenscapes | 7位 | 8位 | 7位 | 7位 | 8位 | 9位 | ー | 9位 | 9位 | ー | ー | |
Coin Master | ー | 9位 | 6位 | 5位 | 5位 | 7位 | 8位 | 10位 | 3位 | 5位 | 4位 | 6位 |
AFK Arena | 4位 | 4位 | 4位 | 9位 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | |
Monster Strike | 8位 | 3位 | 3位 | 4位 | 4位 | 3位 | 3位 | 5位 | 4位 | 8位 | ー | |
Rise of Kingdoms | 10位 | 7位 | 8位 | 10位 | 9位 | 8位 | ー | ー | 7位 | 6位 | 6位 | 8位 |
DBZ Dokkan Battle | ー | 5位 | ー | ー | ー | ー | 7位 | ー | 10位 | ー | ー | |
Pokemon GO | ー | 10位 | ー | ー | 7位 | 5位 | 4位 | 4位 | 5位 | 4位 | 5位 | 4位 |
Three Kingdoms Strategic | ー | ー | ー | ー | 6位 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | |
Brawl Stars | ー | ー | ー | ー | ー | 6位 | ー | ー | ー | ー | ー | |
Lineage M | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 9位 | 8位 | ー | ー | ー | |
Homescapes | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 10位 | ー | ー | 10位 | ー | 10位 |
Knives Out | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 7位 | ー | ー | ー | |
Genshin Impact | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 1位 | 3位 | 3位 |
Moonlight Blade | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 9位 | 8位 | |
Puzzle & Dragons | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 9位 | |
Garena Free Fire | 9位 |
圧倒的Tencentの力
TencentがパブリッシャーとなっているPUBG MobileとHonor of Kingsの2タイトルがこの1年間トップ2を独占していたことが分かる。更に10月からは、MMORPGのMoonlight Bladeもランクインしている。
PUBG Mobileは南アジア、東南アジア、東アジアの地域で爆発的人気を誇っている。3大ライブ配信プラットフォームの一つFacebook Gamingでは、最も人を集めているコンテンツの一つとなっている。
上記の記事によると、現在の総収益は35億ドルを超え、2020年だけでも8月の時点で収益が18億ドルを超えている。また、ダウンロード数は中国国内を除いても6億4400万を突破している。
一方Honor of Kingsは圧倒的中国国内の人気が高い。収益の95%以上は中国国内からである。中国のゲームへの関心の高さが読み取れる。
日本版のストアではダウンロードできない。
またTencentの子会社Riot Gamesも「League of Legends」のスマートフォン版WildRiftを配信開始したので、住み分けができるのか、パイの食い合いになってしまうのかは要注目である。
モンストの巻き返し
日本のモバイルゲームは、正月イベントで強キャラをガチャの対象にする傾向がある。そのため、この時期は売上が上向くことが多い。こうした影響でギアを上げたモンストは、更に2~3月に開催された「鬼滅の刃」コラボが大当たりした結果、世界的に売り上げが大幅に上昇した。この様なコラボと自社のイベントを間断なく打ち込むことで非常に高い水準で売り上げを安定させることができた。ちなみに現時点で7回の外部コラボを行っている。
2020年の「鬼滅の刃ビジネス」があらゆる所で追い風になっていることが分かるね。
一方で2019年は勢いがあった「Fate/Grand Order」は、正月や周年などの明確な課金タイミング以外は昨年に比べると少し落ち込んでいる印象だ。ちなみにこの1年間で外部コラボは行っていない。
ゲームにもそれぞれ色があるので、一概に全てそうであるとは言えないが、コラボによる新規層の継ぎ足しは、特にガチャベースのモバイルゲームにおいてかなり有効な延命手段であることが分かる。
それにしても、約14億人の中国に対して、約1億人の日本市場をメインに活動している日本タイトルが、ランキングで中国タイトルに肉迫しているのは驚きだ。
日本人1人当たりの課金額の高さがヤバすぎるぞ。
原神の登場
この1年間で唯一「PUBG Mobile」と「Honor of Kings」の壁を貫いたのが、miHoYoがパブリッシャーとなっている原神である。
現在PC、モバイル、PS4の3つの媒体でプレイが可能。ここまで大規模のオープンワールドゲームがモバイルでもプレイが可能であることはかなり凄い。
中国のゲーム会社が、カジュアルなゲームが広く占めていたモバイルゲーム市場に今までの概念を覆すようなハイクオリティーなゲームを導入する流れが強まっている。中国のゲーム会社の技術力が格段に上昇していることが分かる。
また中国だけに留まらず、モバイルゲーム大国である日本にも打って出るために、キャラクターデザインやガチャ制度などにも工夫を凝らしている印象だ。
特徴
ここからは上記のランキングとその推移をもとに、どの国の会社がパブリッシャーとなっているのか、ジャンルと収益の関係性の2点に触れていく。
国別パブリッシャー一覧
中国パブリッシャー:9タイトル
- Tencent:3タイトル
PUBG Mobile、Honor of Kings、Moonlight Blade - Supercell:(Tencent傘下のため中国とする) 1タイトル
Brawl Stars - NetEase:1タイトル
Knives Out(荒野行動) - LILITH TECHNOLOGY HONG KONG LIMITED:2タイトル
Rise of Kingdoms、AFK Arena - Alibaba:1
Three Kingdoms Strategic - miHoYo:1
Genshin Impact
日本パブリッシャー:4タイトル
- XFRAG (mixi)
Monster Strike - BANDAI NAMCO Entertainment
DBZ Dokkan Battle - ガンホー・オンライン・エンターテイメント
Puzzle & Dragons - Aniplex (SONY)
Fate/Grand Order
米パブリッシャー:3タイトル
- King (Activision:Blizzard傘下のためアメリカとする)
Candy Crush Saga - Roblox Corporation
Roblox - Niantic
Pokemon GO
その他パブリッシャー
- Playrix:2 (ロシア)
Gardenscapes、Homescapes - Netmarble:1 (韓国)
Lineage M - Moon Active:1 (イスラエル)
Coin Master - Garena(Sea Limited):1(シンガポール)
Garena Free Fire
この1年間で総合売上トップ10に入ったことがあるタイトルのうち、9タイトル(約43%)は中国の企業がパブリッシャーとなっている。そこには、今年特に強い影響力を持っていた「PUBG Mobile」「Honor of Kings」「Genshin Impact」の3タイトルも含まれる。
この点からもモバイルゲーム市場における中国企業の影響力の強さが分かる。
ジャンルから見る収益を得やすいゲームの傾向
RPG系:6タイトル
- MMORPG:2
Lineage M、Moonlight Blade - RPG:2
Fate/Grand Order、AFK Arena - Action RPG:1
Genshin Impact - Co-op RPG:1
Monster Strike
戦略系(MOBA&ストラテジー):4タイトル
- ストラテジ: 3
Three Kingdoms Strategic、Rise of Kingdoms、Brawl Stars - MOBA:1
Honor of Kings
カジュアル系:3タイトル
Gardenscapes、Homescapes、Coin Master
パズル系:2タイトル
Candy Crush Saga、Puzzle & Dragons
バトルロワイヤル:3タイトル
PUBG Mobile、Knives Out(荒野行動)、Garena Free Fire
その他:3タイトル
- Game creation system&Massively multiplayer online game
Roblox - AR&location based game
Pokemon GO - シングルプレイヤーコンピュータゲーム
DBZ Dokkan Battle
この1年間で総合売上トップ10に入ったことがあるタイトルのうち、6タイトル(約29%)はRPG系のタイトルであった。結果から見れば、モバイルゲームアプリの中で最も収益を上げやすいゲームジャンルであると言える。多くの日本産のモバイルゲームはこれに該当する。
その理由として考えられるのは、キャラクターやアイテムなど課金対象にしやすい要素が多く盛り込まれていること、直接的なPvPではないため、Pay to Win(勝つために課金する)の様式が採用されても不満は少ないことが挙げられる。課金方式はガチャが採用されることが多い。
しかし、この1年間でほぼずっと2トップの「PUBG Mobile」と「Honor of Kings」はRPGではなく、それぞれバトルロワイヤルとMOBAである。共にPvPだ。また、課金対象はゲームに直接的に影響しないコスチュームなどの見た目の部分に限定されている。
ゲーム全体を考えても、世界的にも売上のトップを走っているFortniteやLeague of Legendsも同じく課金対象を見た目の部分に限定していることから、より多く収益を上げるにはこうした方法の方が適していると考えられる。
だが、今あげたようなタイトル以外で、同じような課金対象の設定で収益を上げているタイトルは少ない。軌道に乗せるには、ある程度の企業規模とタイトルのネームバリューが必要であると考えられる。
終わりに
2020年のモバイルゲーム市場の中で、明らかになったのは、中国におけるモバイルゲームの関心の高さである。その関心の高さが需要供給の両面で有効に作用し、今回の結果に繋がった。
Knives Out(荒野行動)、PUBG Mobile、Genshin Impactなどのタイトルが、日本でも人気が高いように、中国企業は日本市場でも勢力を拡大し始めている。
このような流れに対して、今後日本企業がどう対応するのか要注目である。