最近「esports」という単語は世間的に知られる様になった。
だが、まだまだ世界との盛り上がりの差は埋められない。ではその差はなんだ!?
今回はそんな日本でesportsが大成していない理由に迫ってみた。
はじめに
2018年・2019年はesportsに対する世間の認知が高まった年だった。
しかし、世界に追いつく程の決定打に欠けたままズルズルと時間が経過しているのが現実だ。
そこには2つの要因がある。
しかし、業界的にこれを指摘するのはタブー視されている。
「とにかくesportsを発展させたい。」「esportsの発展には速さが必要だ。」
というのがesports業界の今の気持ちなのだ。
何が何でも手段はどうあれ成功したいと言ったesportsの今の焦りは、確実に禍根を残すだろう。
私は「未来あるesports」を想像したいのだ。
だからこそ、今回は敢えてここに踏み込もうと思う。
では2つの要因とは・・・
- 「esportsとして力を入れるタイトルの選択を誤っている」
- 「そもそもesportsへの認識が誤っている」
esportsタイトルの選択ミス!
まずは「esportsとして力を入れるタイトルの選択を誤っている」から触れよう。
携帯電話が世界と比べて日本が独自に進化し「ガラケー」と呼ばれた様に、日本はesportsにおいても「ガラパゴス化」している。
つまり「ガラパゴスesports」状態なのだ。
esports人気タイトルの世界と日本の乖離から見ていこう。
【ガラパゴス化】する日本esports!!
人気のタイトル -日本
人気のタイトル -世界
日本のtier表は集計対象が全ての機器であるが、世界のtier表はPCオンリーである。だが私は問題ないと感じている。日本はコンソール層が多く世界はPC層が多い(格ゲーは除く)。主となる層が集計されているので、この違いがそこまで結果を変化させることは無いと考える。
共通タイトル
- League of Legends
- RAINBOW SIX SIEGE
- PLAYERUNKNOWNS BATTLEGROUNGS (PUBG)
- CALL of DUTY
上記以外にも共通タイトルはあるが、観戦玄人の私の体感として、日本のtier3はあまり盛り上がってないので今回取り上げることはしない。
日本特有のタイトル
- モンスターストライク
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
- STREET FIGHTER
- 鉄拳7
- 荒野行動
- SHADOWVERSE
- Splatoon2
Tier表のランク外だが、スポーツゲームに力を入れている傾向もある。(ウイニングイレブン、パワプロなど)
これらのタイトルのいくつかが、日本をガラパゴスの道へと誘っていると考えて間違いない。
日本特有タイトルの特徴
ガラパゴスがなぜ危険であるかを説明する為、これらのタイトルの特徴を捉えよう!!
- 格闘ゲーム
- アニメor漫画調のキャラクターデザイン (キャラクタービジネスの影響)
- 模倣ゲーム (オリジナルゲームが伝来する前に、ゲーム性を参考(超絶美化)にして日本で売れる様に落とし込む戦法を使ったタイトル)
格ゲーは世界的な盛り上がりを見せており、日本が誇れる世界標準のesportsだ。
格ゲーの様に日本特有でも世界に通用するのであれば問題は無いが・・・。
「アニメor漫画調のキャラクターデザイン」や「模倣ゲーム」は世界進出にことごとく失敗している。そもそもesportsなのかも微妙だ・・・。
キャラクタービジネス型esportsの問題点
ここから「アニメor漫画調のキャラクターデザイン (キャラクタービジネスの影響)」を【キャラクタービジネス型esports】と表記していく。
一つ目の問題点
日本で海外のキャラクターデザインが流行らないと同じで、アニメor漫画調のキャラクターデザインは海外では流行らない。
海外で流行らない為、esportsとしての規模の拡がりを持てないことだ。
パイは小さく、影響力も少なくなることが予想される。
二つ目の問題点
そもそもesportsとの相性が悪い。
キャラクタービジネスは当然キャラクターに重きが置かれる為、見てくれや演出が派手であり、キャラの強さがゲームに反映される。
一方でesportsの主役は選手だ。選手の技能、戦略、精神力が一番大きな構成要素だ。
この要素がキャラパワーで薄れるのだ。
つまり、キャラゲーと化すと競技感覚は薄れるのだ。
実際多くの世界tier1タイトルは、キャラクターよりプレイヤーに焦点を当てたものが多い。
三つ目の問題点
三つ目の問題点は、この系統のタイトルは当初esportsの展開を想定していないものが多いことだ。
だから後付けのpvpモード(タイムアタックなど)で競技感を無理矢理出して、esportsを名乗るのだ・・・。
元々が競技でないのなら、esportsにする必要はあるのだろうか?
こうした「ムリヤリesports」が日本人にとってのesports概念を歪めている。
競技がスポーツになることはあっても、スポーツを作ろうとして競技は考えないだろう・・・
「競技の面白さ」よりも「esportsである事」を前面に押し出しているのだ。
模倣ゲーム型esportsの問題点
ここからは、模倣ゲーム (オリジナルゲームが伝来する前に、ゲーム性を参考(超絶美化)にして日本で売れる様に落とし込む戦法を使ったタイトル)を模倣ゲーム型esportsと表記する。
一つ目の問題点
ここでも問題点の一つとして、 海外で流行らない為esportsとしての規模の拡がりを持てないことがある。
当然であるがどんなに国内で流行ったとしても、世界にはオリジナルのゲームが存在している為になかなか進出しにくい。
ほとんどの場合海外で流行っていたから真似たわけであるので、オリジナルの方が規模大きいので尚更である。
二つ目の問題点
スポーツ性を強調するのであれば、他社のアイデアをマネよう精神で成り立っているタイトルを持ち上げるのは道理としてどうであろうか?
スポーツなら精神や礼儀を重んずるものである。その中で「マネる」という精神は果たして美しいものであるだろうか?
この様な特徴を持つタイトルはesportsなのかは疑問である。いや、ふさわしくないと言っても過言ではないだろう。
だが現状は・・・・
多くの企業はこういったタイトルの大会に協賛している。
たとえ実質esportsではなくても、人気があるので企業はお金を出したがるのだ。
実際キャラクタービジネスは安易なコラボなどで表層的なビジネスと紐づけやすい。
そっちの方が儲けられるのだから当然だろう。
しかし、これでは一時的な儲けしか得られない。
持続的なリターンを見込むのなら、esportsと言う概念そのものに投資しなくてはならない。 文化となり基盤が安定しなくては持続的なリターンは見込めないからだ。
だが、上記の様なタイトルを抱える日本のesportsはガラパゴスであり、世界標準のesportsとは少し違う。
となると、どんなにお金を入れても国内で小さくまとまるだけで、esports文化が発展することはないだろう。
誤ったesportsへの認識
✖:競技であれば、どんなタイトルでもesportsだ
語源
意外と見落としがちだが、esportsはそもそも海外発祥の言葉である。
当然基準は海外となる。
つまり、esportsの発展は世界との摺り合わせが必要なのだ。
独自解釈(競技であれば、どんなタイトルでもesportsである)は発展にそぐわないと言える。
一つ勘違いをしないで欲しい。
「世界に媚びを売る」だとか、「世界を真似しろ」という意味ではない。
日本のesportsが万人を対象にしたエンターテイメントであるべきと言うことだ。
何故、ガラパゴスではダメなのか?
柔道と弓道の例えで話そう。
これら二つは共に日本特有の競技、武道、スポーツであるのだ。
だが、柔道は世界的人気がありオリンピック競技でもある。片や弓道は国内ではポピュラーだが、世界では流行っていない。
今日本が「模倣ゲーム型esports」や「キャラクタービジネス型esports」を押し上げているのは、日本では知られているが世界的認知度が低い弓道をオリンピック競技にしようと言っている様なものだ。
大人がもっと活躍をみたいと思い子供が憧れるのは、世界の舞台で戦う日本人の姿ではないだろうか?
スポーツの例えで日本に求められることを考えると・・・
- サッカーやテニスの様に海外タイトルにも力を入れること。
つまり、世界的にプレイされているesportsタイトルを盛り上げること。 - 柔道の様な世界的に認められたタイトルを作ること
つまり、世界中の人々がプレイするesportsタイトルを開発すること。
企業もesportsに一枚噛みたいのなら、こういった所に力を入れることが持続可能な収益に繋がるのだ。
✖:暴力的な内容はスポーツ精神に反する
スポーツタイトルが推されるもう一つの理由としては、健全さをアピールする必要があるからだろう。
多くの意見では、流血・暴力描写がesportsが敬遠される理由の一つになっている。
しかし、ボクシングやレスリングはオリンピック正式種目ではないか?
流血もすれば、力も振るうではないか?
だからといって、そうしたスポーツが暴力事件の原因であるとはされていない。
esportsの戦闘系タイトルが相応しくないのであれば、まずはボクシングやレスリングを除外してから言えということだ。
競技内の描写が現実の事件に反映されることは殆どない。聞いたこともないだろう?
結局のところ、esportsが人々にとって馴染みのあるエンターテイメントになれば、ボクシングなどの様に自然とこう言った声は少なくなるということなのだ。
その為には、より多種多様な人々がesportsと関わる機会を増やす必要がある。
日本でesportsを普及させるには
- esportsの基準は世界であり、決して日本ではないことを意識した上で次の事に力を入れよ!
世界的にプレイされているesportsタイトルを盛り上げること。
世界中の人々がプレイしたくなるesportsタイトルを開発すること。 - 一般人がesports文化に親しみを持てる様な機会を提供せよ!
「esportsへ参入した・参入を考えている企業」、「esports関係者」が上記の様な意識を持ってほしい。
本当に必要なのはこうした場所にリソースを割き、esportsを強固な文化に昇華させることだ!!!!!!