「The Esports Observer」が発表した2020年Q3におけるeスポーツのティアを紹介し、ランキングの順位に与えた要因と今後注目するべきポイントに触れていく。
【YouTube】Apexか!? CoDか!? 全世界で最も強い影響力を持ったゲームってなんだ!? 世界eスポーツランキング!! (2020Q3)
【参考】前回(2020年Q2)のTier
情報・分析ソース
情報
- Twitch
- Esports Earning
- The Esports Observer
分析
- The Esports Observer
- newzoo
2020年 Q3のTier・順位
指標
「The Esports Observer」では、以下の6つの指標で重み付けをしてTier(ランキング)を作成している。
- 月間アクティブPCプレイヤー数: 30%
- 賞金額: 25%
- eスポーツ配信の視聴時間: 20%
- ゲーム動画の視聴時間: 15%
- ライブ配信数: 5%
- 大会数: 5%
Tier1
1位 League of Legends
ー
Q1、Q2に引き続き、Q3でもオンラインがメインとなりつつも、各地域の「LCS Summer Split」を筆頭に遜色ない盛り上がりを見せた。そして、Q4でも「 League of Legends World Championship」が例年通りの盛り上がりを見せていたので、Q4もほぼ間違いなく1位を獲ることが想定される。Twitchの同時接続数も毎日トップクラスである。
こうした「League of Legends」の盛り上がりは、人気が特定の地域に偏っていないことに要因がある。中韓だけでなく、EUや北米でも人気が高いことからも分かるだろう。以前の記事で紹介したが、人気には強さが密接に関係している。また、弱い地域から順に廃れていく傾向があり、準決勝に中国、韓国、EUと3地域が入る程には実力差がないこと(中韓優勢ではある)も世界的な人気の一因であると考えられる。
「League of Legends」は更に「League of Legends WILD RIFT」としてモバイル展開も始まっている。今後も非常に楽しみである。
2位 Call of Duty Modern Warfare
⇧6位 Tier2
eスポーツとしては「Call of Duty League」が盛り上がりを見せ、タイトル総額賞金は500万ドル(約5億円)を超えている。また「Warzone」の視聴者も非常に多く、Twitchでも連日トップクラスである。
Tier2
3位 Counter-Strike: Global Offensive
⇩2位 Tier1
コロナショックの影響で大会開催数が例年よりも少なくなったために、今一つという形になった。最近では回復しているものの、一時期はTwitchの視聴者数も激減していた。VALORANTに若干であるが吸われた印象がある。
4位 VALORANT
⇩3位 ー
地域ごとではあるものの国際大会が開催される頻度が上がっている。そして12月には「VALORANT First Strike」という初の公式大会が開催される。他タイトルよりもeスポーツに対する意識の強さを感じる。しかし、Twitchの視聴者数はそこまで多くないのは1つの特徴である。
5位 Dota 2
―
全eスポーツの中で最大の賞金額の大会「The International」が来年に延期されたことが、順位にこそ現れていないが大きく響いている。Q3は同規模ではないが、代替となる大会を開くことで乗り切った。
6位 Fortnite
⇩4位 ー
こちらもメイン大会である「World Championship」が中止になった影響が大きい。それでもTwitchにおける視聴者数が平均的に高く、高順位をキープしている。
7位 Apex Legends
⇧ランク外
「THE ESPORTS OBSERVER」の記事には書かれていなかったが、日本の盛り上がりが支えているのは間違いない。盛り上がっている地域が非常に限定的な点と視聴者を集めている層が少数で固定されている点は非常に気になるところではある。ただシーズン7から、shroudやaceuなど、かつての大物ストリーマーが戻ってきているので、今後の期待度は高い。
8位 Overwatch
⇧10位 Tier3
非常に閉鎖的な盛り上がりとなってしまっているが、「Overwatch League」が例年とほとんど変わらない規模で行えたことが順位を上げた要因と思われる。
9位 PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
⇧ー Tier3
オンライン大会の「PCS」が安定してきたことにより、盛り上がりが若干戻ってきた。ただ、バトルロワイヤルというゲームの性質上、多くのプレイヤーが集まることになるオフライン大会へのハードルは最も高い。
10位 Hearthstone
⇩8位 -
コロナショックの状況下でも「Masters Tour 2020 Montreal」や「Grandmasters 2020」などの大規模大会を開催できており、非常に安定している。また、最近はTwitchでの視聴者数が回復傾向にある。
Tier3
11位 Rocket League
―
「Championship Series Season X」など大規模大会を行えてはいるが、公式以外の盛り上がりがイマイチな印象がある。9月に無料化したものの状況が大きく好転したようには思えない。
12位 StarCraft II
―
非常に小規模ではあるもの、プレイヤーによって非常に多くの大会が開催されている。
13位 Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
⇩7位 Tier2
Six Invitational 2020以降のランクダウンが止まらない。コロナショックの影響でメイン大会である「Six August Major」が大規模開催できなかったことが、この結果の最大の要因である。来年のSix Invitationalが開催できなくなると、いよいよ厳しくなってくると思われる。
14位 Teamfight Tactics
⇧15位 ー
徐々に大会規模が大きくなっているように思われる。Twitchの視聴数の平均値がそこそこ高いのが印象的である。
15位 World of Warcraft
⇧ランク外
15位とランク外を行き来している印象が強い。「THE ESPORTS OBSERVER」によると、このランクインの要因は視聴者数が増加したことにあるようだ。実際にTwitchの視聴者は右肩上がりで上昇している。Q4も伸びることが予測される。
特徴
大規模大会を開催できたかが命運を分けた。
これにはQ3だけではなく、Q2の時点でどれだけ先手を打てたかが関係している。如何に早くオンライン化に移行し、その後オフライン大会の整備ができたかという点だ。
この差はeスポーツへの意識もあるが、ゲーム会社の資金力も関係していると思われる。現時点でのオフライン大会は、観戦者の制限などもあり収益を得にくい状況だからだ。この状況は少なくても来年の前半までは続きそうなので、オフライン大会のハードルは高い。その点で考えると10月時点で大規模オフライン大会を開催できた「League of Legends」はやはり凄い。
Q4以降の注目ポイント
Q4は例年、各タイトルのメイン大会が終わっている時期なので、小規模大会の開催数やTwitchでの視聴者数が鍵になる。
そして何よりも2021年に向け、オンライン大会の開催数やオフライン大会開催への動きなど、各タイトルの動きに注目だ。