The Esports Observerが「世界各国の人々がどのeスポーツタイトルを好むか」というデータを発表した。そこから見えてくる関係性や特徴とは!?
【YouTube】世界で人気なeスポーツランキング!! 各国のゲームの好みがまるわかり!!
指標
調査データ
Nielsen Esports Fan Insight
調査対象
- 中国
- フランス
- ドイツ
- 日本
- 韓国
- イギリス
調査人数
各国ごとに1,000人
調査対象年齢
年齢:16~40歳
中国
1位 League of Legends
2位 PlayerUnknown’s Battlegrounds
3位 Counter-Strike: Global Offensive
4位 Dota 2
5位 Overwatch
特徴
MOBAが2つ、シューティングが3つと、この2つのジャンルが特に人気である。世界的に人気なeスポーツタイトルで構成されており、基本的にはPCがメインとなるタイトルがほとんどである。
フランス
1位 FIFA
2位 Call of Duty
3位 Counter-Strike: Global Offensive
4位 League of Legends
5位 Fortnite
特徴
スポーツが1つ、MOBAが1つ、シューティングが3つとシューティングの人気の高さがうかがえる。フランスとドイツは順位こそ違えど、構成しているタイトルは全て一緒である。
今回のランキングの中で、唯一スポーツがトップに位置しているのは注目すべきポイントだろう。
ドイツ
1位 Call of Duty
2位 Fortnite
3位 FIFA
4位 League of Legends
5位 Counter-Strike: Global Offensive
特徴
スポーツが1つ、MOBAが1つ、シューティングが3つだ。既に触れたがフランスと構成しているタイトルは全て一緒である。
韓国
1位 League of Legends
2位 Overwatch
3位 StarCraft
4位 FIFA
5位 PlayerUnknown’s Battlegrounds
特徴
スポーツが1つ、MOBAが2つ、シューティングが2つとジャンルの幅は一番広い。ジャンルの傾向は中国と同じであるが、タイトルにおいては「Counter-Strike: Global Offensive」「Call of Duty」「Fortnite」が選ばれないなど、独特なものとなっている。
イギリス
1位 Call of Duty
2位 FIFA
3位 Fortnite
4位 Overwatch
5位 Counter-Strike: Global Offensive
特徴
スポーツが1つ、シューティングが4つである。「MOBA」がランクインしていないのはイギリスと日本だけだ。
日本
1位 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
2位 ストリートファイターV
3位 スプラトゥーン2
4位 Call of Duty
5位 マリオカート8
特徴
格闘が2つ、シューティングが2つ、レースが1つと世界と比較してもやはり異色である。タイトルで見ても「Call of Duty」以外は国内産のタイトルとなっている。
ランキングの分析
全般
タイトルノミネート数
- League of Legends:4
- Counter-Strike: Global Offensive:4
- FIFA:4
- Call of Duty:4
- Fortnite:3
- Overwatch:3
- PlayerUnknown’s Battlegrounds:2
- その他:1
この中で注目すべきは「PUBG」と「Fortnite」である。この2タイトルはともに「バトルロワイヤル」というジャンルだが、「中国・韓国」はPUBG、「ヨーロッパ」はFortniteとはっきり分かれている。
ジャンル比率
- シューティング:57%
- MOBA:20%
- スポーツ:13%
- 格闘:7%
- レース:3%
世界的に最も人気なジャンルは「シューティング」といえる。
好みと地理的要因
地理的なつながりは好みの傾向にも影響を与えると思われる。その中でも特に地続きの場合にはその影響は強い。今回は「中国・韓国」「ヨーロッパ」「日本」の3つのグループに分けて考える。
中国・韓国
ジャンルでは、2国とも「MOBA」と「シューティング」の人気が際立っている。また、タイトルで見ても「League of Legends」が一番人気である点、他の地域ではあまりランクインしない「PUBG」や「Overwatch」といったタイトルが人気である点など、好みが似ていることが分かる。
ヨーロッパ
基本的には「シューティング」が最も好まれており、そこに「FIFA」や「League of Legends」などが加わっている。特にドイツとフランスは順位の並びは違うものの、ランクインしたタイトルは同じである。
ただイギリスだけは少し異なっており、「League of Legends」がランクインしていない。同じ地域であっても、海で隔たれている場合は多少好みに変化が現れる。中国・韓国に対して、日本が全く異なる点からもそういえるだろう。
日本
世界から見てもかなり異色である。「中国・韓国」との類似性はほぼない。同じく海を挟んでいるとはいえ、「ドイツ・フランス」と「イギリス」の関係性とは全く異なる。世界的人気タイトルでランクインしているのは「Call of Duty」だけである。
日本の特徴としては「スマブラ」や「ストリートファイター」など「格闘ゲーム」が人気な点と、「スマブラ」「スプラトゥーン」「マリオカート」といった任天堂タイトルが多くランクインしている点である。
特に後者に注目したい。同じ企業の作品が3タイトルランクインしているのは、日本だけである。それだけ「任天堂」が日本人の心を掴んでいると考えられるが、一方で日本人は世界のゲームタイトルに非常に疎いともいえる。
人気と強さ
今回のランキングではっきりしたのは、「人気」と「強さ」は比例するということだ。例えば「中国・韓国」で人気な「League of Legends」や「PUBG」は世界的にも強く、「ヨーロッパ」で人気な「Counter Strike: Global Offensive」も同様に非常に強い。
だが「人気」によって「強さ」が生まれるのか、「強さ」によって「人気」が生まれるのかは定かではない。ただ筆者は、eスポーツとして「人気」を維持するためには、ある程度の「強さ」が必要であると考えている。
「FPS」がなかなか流行らない日本においても、「VALORANT」が未だに多くの関心を集めているのは、「Absolute JUPITER」をはじめ強いチームが揃っていることが関係していると思われるのだ。
また、当初は人気であった「PUBG」が現在では「ヨーロッパ」においてランクインしない程の人気となってしまった背景には、世界大会において「中国・韓国」に少し及ばない点や、それに伴う有名プロチームの撤退などが原因だと考えられる。最終的に選手が次の活躍の場を求めて引退するケースも多い。
「弱くなってしまう」→「観衆の関心が少しずつ離れていく」→「有名プロチームやスポンサーが撤退を始める」→「プロプレイヤーも引退を余儀なくされる」→「eスポーツとしての活気が薄れていく」→「更に弱くなってしまう」
こんな悪循環があると思う。やはり「人気」の維持に「強さ」は不可欠なのだ。
終わりに
地理的条件や強さが、各国で好まれるeスポーツに影響を与えているらしいことが分かった。
今回のデータのような各国の傾向を考慮した上でeスポーツ市場を観察することで、タイトルの流行り廃りに対してある程度の予測を立てられるかもしれない。