多くの人がeスポーツの大会やイベントを開催できるように、我々が実際に開催して得たノウハウを紹介する。第1回はFortniteのオンライン大会だ。
はじめに
eスポーツに対する関心は年々高まってきており、それは個々人の趣味の域を超え、コミュニティや企業の領域にまで達している。
しかしながら、現在のeスポーツは公式や準公式といった上澄みのプレイヤーが参加する枠組みしか整備が行き届いていない。
そこで神奈川県eスポーツ協会のメンバーでもある我々esports DOGAが、多くの人がeスポーツに触れられるように、そして企業やコミュニティが手軽にeスポーツの大会やイベントを開けるようにノウハウを紹介することにした。
第1回である今回は老若男女に人気の「Fortnite」だ。
【YouTube投稿】【第1回】フォートナイトのオンライン大会・イベント開催のノウハウ大公開!!
esports DOGAが運営した「おとなのFortnite大会」
合計267名がエントリーした。
Fortniteの大会・イベント開催の容易さは?
Fortniteの大会・イベントの開催の容易さが直感的に分かるように、集客、民度、技術・操作、参加者管理、環境整備の5つの観点をレーダーチャートにした。
集客や技術・操作は簡単な部類に入るが、環境整備の難易度は高い。また民度は著しく低い。
集客
大会コンセプトを明確に
日本でも人気なゲームタイトルであるので大会は乱立している。そのため、大会・イベントに多くの参加者を集いたい場合は、他のイベントと差別化できる大会コンセプトが必要になる。
例:おとなのFortnite大会
- 神奈川県にゆかりのある方(こじつけでも可)
神奈川県在住、通勤・通学先が神奈川県、京急が好き、新婚旅行は熱海だった、名字が”川崎”だ、ラーメンはサンマーメンと決めている、など。 - 大人な方
紳士的な対応ができる方、暴言・煽り・死体撃ちなど最低限のマナーに反する行為をしない方
Fortniteに限らずeスポーツ大会・イベントを企画するなら、大会コンセプトで自分達の色を出していくことが集客に繋がると思うよ!!
賞品・賞金を工夫
多くの参加者を募る為には賞金を出すことが一番有効であるのは間違いない。しかし賞金”だけを”目当てに大会を渡り歩くプレイヤーの民度が高いとは言えないのが実情だ。我々が運営した大会ではルール違反をした参加者の多くはこの類であった。
また、賞金を前面に出し過ぎると参加者とイベントの繋がりが金銭中心となってしまい、イベントコンセプトや運営に目がいかなくなってしまう。これでは次に繋がらない。
大会コンセプトにマッチした賞品、出してもPOSAカードに留めた方が良い。現金は避けたい。
例:おとなのFortnite大会
- おとなのフォートナイト大会:あつぎ豚詰め合わせ(5,000円相当)+ 5,000円のPOSAカード
- Normal Solo:崎陽軒中華詰め合わせ(5,000円相当)+ 5,000円のPOSAカード
- Normal Duo:よこすか海軍カレー詰め合わせ(各々2,500円相当)+ 各々2,500円のPOSAカード
例:ToyamaGamersDay2020
「紅ズワイガニ100杯」
告知に時間をかける
ゲーム界隈において主要なSNSはTwitterなので、告知はTwitterで行うことになる。そのためTwitterアカウントは日頃から育てておく必要がある(フォロワーを増やす)。
告知期間は1ヶ月はあった方が良い。告知ツイートは流れていってしまうので、一度でユーザーの目に留まる可能性は低い。よって根気強く何度も告知を行う必要がある。また、FORTNITEはカスタムマッチに参加したい人が多いので、地道な声掛けが功を奏す可能性が高い。
民度
残念ながら民度は最悪である。
しかし、おとなのフォートナイト大会を運営することで、Fortniteの民度の悪さの性質とその改善策を見つけることができた。
年齢制限でプレイヤーの質が良くなる
おとなのFortnite大会では、25歳以上推奨と15歳以上の2つの年齢制限と設けたマッチを行った。25歳以上推奨のマッチは、ルール違反は全くなく、コミュニケーションを取る上でも非常に協力的で大人の対応ができる人が多かった。一方で、15歳以上では大会のルール違反だけに留まらず、チート行為であるチーミングをする参加者が出る始末だった。このことから年齢層によってプレイヤーの質が大きく異なることが分かる。大会やイベントを円滑に進めたいなら年齢制限を設けた方がよい。
25歳以上の制限を設けたけど多くの参加者が集まったよ。大勢でゲームしたい大人がたくさんいるということだろうね。ゲームは子供のものという認識は捨て去った方がいいね。
技術・操作
操作自体は簡単だが、魅せるのは難しい
カスタムマッチのルームを作り、参加者が参加するまでの行程は非常に簡単である。
この記事の通りに進めればできる。
ただ、Fortniteの一般向けカスタムマッチはルームを作る機能しかないので、配信を通して視聴者に見せる場合は工夫が必要である。
まずFortniteには神視点が無い。観戦モードで視点を自由に切り替えることもできない。配信では観戦モード画面を使用することが多いが、それでは観戦モードで見ているプレイヤーしか映せない。延々と待っている芋プレイヤーや、移動や装備を整えているシーンなど、映えない映像が流れることになる可能性が高い。
改善策としては、何人か運営側もマッチに参加し、その視点をスイッチャーで切り替える方法が挙げられる。ただ、スイッチャーやFortniteを快適にプレイできるPCが複数台必要で、費用がかさむ。
必須の注意事項
捨て垢、匿名禁止
- EpicアカウントIDの2段階認証を有効にする
- 「匿名モード」を「オフ」にする
の2点を明記しよう。荒らし目的の捨て垢での参加を”ある程度”抑止できるし、チート行為や荒らしなどがあった場合にスムーズにEpicに通報できる。
ちなみに匿名モードであっても、リプレイで匿名は解除できる。
マッチメイキング地域
マッチメイキング地域を「アジア」に設定することを明記しよう。
プレイヤーによってはホストとのPing値によって別の地域に飛ばされ、マッチに参加できない可能性がある。
マッチに参加できない場合
エラーなどでマッチに参加できなかった場合の対応は必ず記載しよう。
ただ運営側にはどうにもならないことなので「エラーにより参加できない場合があるがマッチは継続する」としか書けないが、トラブルの回避にはなる。
参加者の管理
バトルロワイヤルは1マッチの参加者が最大100人とかなり多い。また何マッチも行う場合には100人以上を確実に誘導しなくてはならない。参加者を捌くのはかなり大変で、エントリーフォームやDiscordが必須となる。
エントリーフォーム
エントリーフォームはGoogleフォームがオススメである。作成は非常に簡単で、回答をスプレッドシートに出力できる。また、スクリプトエディターでエントリーの上限設定をしたり、エントリーした人にDiscordのサーバーのURLを自動返信すると更に円滑に管理できる。
エントリーの上限設定
エントリーした人にDiscordのサーバーのURLを自動返信
Discord
eスポーツでは、管理や進行をDiscordというアプリで行うのが主流だ。大勢の人にアナウンスしたり、各々と直接連絡が取れるなど非常に便利である。
Discordを使った管理の例
Fortniteの大会の運営は、以下のように行うと比較的楽だ。
- 全体アナウンス用のチャンネルとそれぞれのマッチ用のチャンネルを作る。
- サーバーに参加した参加者をそれぞれが出場するマッチに振り分ける(ロール付与)。
- ルール説明などは全体アナウンス用のチャンネルで伝える。カスタムマッチのキーは、それぞれのマッチのチャンネルで伝える。
環境整備
カスタムマッチライセンスが必須
残念ながらFortniteのカスタムマッチは誰でもできるものではなくライセンスが必要だ。だが、なかなかライセンスをもらうのが難しい。
必要な環境
- プレイベートマッチができるEpicアカウント
- プライベートマッチ作成用PC
- オブザーバー用PC
- Discord用PC
- 配信サイトのアカウント
- 配信用PC
- モニター
- カメラ
- マイク
- スイッチャー
詳細な情報はこちらの記事から⇩
実際の大会風景
写真みたいにより本格的にeスポーツの大会やイベントを開きたい!という場合は今回の記事よりも複雑になってくるんだ。そんな時は下記のお問い合わせフォームから相談してみて!!