実際の成績をもとに、世界で活躍している選手の年齢層をMOBA、タクティカルシューティング、バトルロワイヤルの3つのジャンルで紹介し、そこから見えるeスポーツにおける活躍と年齢の関係を分析してみた。
【YouTube】【eスポーツ】若さは必要なのか?プロゲーマーの年齢と活躍の関係性をまとめてみた!!
はじめに
「eスポーツの活躍に年齢は関係しているのか」という記事が話題となっている。
今回はこの記事を受け、世界のeスポーツタイトルでは年齢と活躍がどのように関係しているのか、「MOBA」「タクティカルシューティング」「バトルロワイヤル」の3ジャンルの傾向を分析してみた。
MOBA
《multiplayer online battle arena》多数のプレーヤーが参加するオンラインゲームのうち、プレーヤーが敵味方二つのチームに分かれ、味方チームで協力しながら敵チームを攻める形式のもの。マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ。
https://www.weblio.jp/content/MOBA
「League of Legends」や「Dota2」が代表的なタイトルだ。
その中でも今回は世界的に人気が高い「League of Legends」を取り上げる。
League of Legends
「League of Legends」の中でも代表的な世界大会である「League of Legends World Championship」の上位のチームの年齢層を参考にする。
ピックアップしたのは2チームだが、Suning、Top Esports、Fnatic、Gen.G Esports、DRX、Rogue、Machi Esports、FlyQuest、TSMも参考にしている。
参考にする選手は大会当時のメンバーとする。
2020年の世界王者「DAMWON Gaming」
- Nuguri 21歳
- Canyon 19歳
- ShowMaker 20歳
- Ghost 21歳
- BeryL 21歳
平均年齢は「20.4歳」となっている。最年少は19歳。最年長は21歳。
ヨーロッパの強者「G2 Esports」
- Wunder 22歳
- Jankos 25歳
- Caps 21歳
- Rekkles 24歳
- Mikyx 22歳
平均年齢22.8歳。最少年齢21歳。最年長は25歳。
League of Legendsの全体的な特徴
- 20~23歳の選手が多い印象と基本的に若い。
- 平均年齢はアジアの方がヨーロッパよりも若干若い傾向がある。
- 「サポート」の役職は比較的多くのチームが年長者が担っていることが多い。
タクティカルシューティング
Rainbow Six SiegeやVALORANTのような、リスポーンなしの戦略性の高いチーム戦FPSを指す。主に爆弾設置と解除の攻防によるものが多い。
Rainbow Six Siege
今回は「Rainbow Six Siege」の世界大会である「Six Invitational 2020」の優勝チームと上位チームを参考にしている。
ピックアップするのは優勝チームのみだが、Ninjas in Pyjamas、Team SoloMid、BDS Esportも参考にしている。
参考にする選手は大会当時のメンバーとする。
Spacestation Gaming
- Thinkingnade 21歳
- Bosco 25歳
- Rampy 21歳
- Fultz 19歳
- Canadian 24歳
平均年齢は22歳、最少年齢は19歳、最年長は25歳。
Rainbow Six Siegeの全体的な傾向
- League of Legendsと比べるとチームの中での年齢差は広い。(多くは19~26が平均的)
- エントリーフラッガーは多くのチームで比較的若い選手が担っていることが多い。
- IGLは必ずしも最年長者が務めている訳ではない。
VALORANT
世界大会は開かれていないので、各地域の大会で優秀な成績を残しているチームを参考としている。アジア圏で強いチームをピックアップした。
Vision Strikers
- glow 32歳
- stax 20歳
- Rb 18歳
- K1Ng 20歳
- Zest 19歳
平均年齢は21.8歳、最少年齢は18歳、最年長は32歳。
Absolute JUPITER
- Laz 25歳
- crow 22歳
- barce 24歳
- takej 19歳
- Reita 26歳
平均年齢は23.2歳、最少年齢は19歳、最年長は26歳。
VALORANTの全体的な特徴
- League of Legendsと比べるとチームの中での年齢差は広く、年齢層も他タイトルと比べると少し高い。(10代がほとんどおらず、30代も中にはいる。)
- ヨーロッパと比べるとアジアの方が平均年齢は低い
- IGLは年長者であることが多く、デュエリストは若い選手が担当することが多い。
バトルロワイヤル
縮小していくエリアの中で、最後の1人、または最後の1チームになるまで敵を倒しつつ生き残るものを指す。
Apex Legends
Apex Legendsも世界大会は開かれていないので、各地域で強いチームを参考にした。その中でも日本とも対戦経験があるT1をピックアップした。
ピックアップするのは優勝チームのみだが、Counter Logic Gaming、Sentinels、Complexity Gaming、LYNX TH、TSMも参考にしている。
T1
- KaronPe 21歳
- Parkha 20歳
- Obly 20歳
平均年齢は20.3歳、最少年齢は20歳、最年長は21歳。
Apex Legendsの全体的な特徴
- 基本的には19~21歳の選手が多い。だが、東南アジアやNAではチームに一人24歳以上の選手がいることも多々ある。
- 東アジア地域は比較的若い選手で構成されている。
Fortnite
Fortnite Champion Series
- NA WEST 優勝verT選手 18歳
- NA EAST 優勝Coop選手 17歳
- EU 優勝TaySon 16歳
Fortniteの全体的な傾向
- 激戦区であるNAやEUの上位陣は、基本的に16~18歳と他タイトルよりも非常に若い。
戦績の結果から見える年齢の影響
ジャンル別の観点からの考察
「MOBA」や「バトルロワイヤル」などより瞬時な判断と反射神経が求められるゲームだと10代後半から20代前半の若い世代が活躍することが多い。
一方で「タクティカルシューティング」では年齢層に広がりがあり、若い選手ほどアタッカーであり、ベテランほど冷静な判断力を求められる戦略的ポジションに就く傾向が高い。上手く住み分けできているように見える。
つまり、瞬時の判断や反射神経が求められる比率が高いゲームほど、若い選手に有利に働き、「タクティカルシューティング」や日本でも盛んな「格闘ゲーム」のように戦略、冷静さ、読みなど精神と経験が求められる比率が高いゲームほどベテランの選手に有利に働くように感じる。
チーム戦 or 個人戦の観点からの考察
比較的若い選手が多い「バトルロワイヤル」でも「Fortnite」と「Apex Legends」では、年齢層が大きく違っていた。
タイトルの触れやすさなども要因としては考えられるが、個人的にチーム戦では個人戦よりも考える要素が多いことから、一人以上ベテランを入れることでチームに精神的、戦略的な安定感をもたらすのではないかと思う。
終わりに
eスポーツでは、全体的に若い選手の方が活躍する機会は多い。それでもベテラン選手が持っている戦略、冷静さ、経験が活躍する機会は残されており、それが必要な場合があることが分かった。
ベテランと表記した選手も、基本的に20代半ばから30代前半と他の競技と比べると非常に若いことは留意すべきだ。