今回からはより多くの人にリアルなeスポーツを理解してもらうために「eスポーツの闇」の部分も紹介します。第1弾はeスポーツの「お金」に関する問題を事例などにも触れながら紹介します。
【YouTube投稿】【eスポーツの闇】プロゲーマーやストリーマーのお金について!!どのくらい稼ぐの?どうやって稼ぐの?
はじめに
一般的な「eスポーツ」として想起されるのは「ゲームに勝って賞金を稼ぐ」というイメージでしょう。そういった煌びやかな面があるのも事実です。現に多くの人間が「夢」に向かってアプローチをしています。
ですが、光があれば影もあり、そこに厳しい現実が待ち受けているのも事実です。
今回からはそうした「eスポーツの闇」を事例などもまじえながら紹介し、現実的なeスポーツの側面も紹介したいと考えています。まずは第1弾として「お金」に関わる問題を紹介します。
お金の稼ぎ方について
まずはeスポーツにおけるお金の稼ぎ方を簡単に紹介します。今回は選手やストリーマーに焦点を当てて進めます。
大会賞金
多くの人にとって一番イメージしやすいのが大会賞金でしょう。ゲームによって差はありますが、優勝賞金が億を超えるタイトルも存在しています。
⇩のサイトでは世界の選手獲得賞金が詳しく書かれています。
しかし、実際に「大会賞金」のみで生活できるレベルまで稼いでいる人は世界でも極少数です。当然大会は1年で開催する回数が決まっており、また必ず勝てる保証もありません。更に団体戦の場合は選手、コーチ、アナリスト、所属チームなどと賞金が分配されるので1人分は減ります。
出演料
続いては出演料です。
各種メディア、イベント、CMなど多岐に渡った出演に支払われるお金を指します。
こちらは当然「露出する」ことに価値が必要なので、単純なゲームの実力だけでなく、知名度、話術、容姿なども求められます。徐々にeスポーツが知られてきたとはいえ、まだマイナージャンルなので、こちらも業界トップ以外は獲得が難しくなっています。
動画投稿・ライブ配信の収益
次は動画投稿・ライブ配信での収益です。
主に広告収入、案件動画、サブスクリプション、投げ銭が挙げられます。
動画投稿・ライブ配信プラットフォームでのチャンネル登録者数、再生回数、同時接続数などを増やさない限りは生活していくだけの収入を手に入れるのは難しいです。これらを成功させるにはゲームの上手さ以外の愛されるキャラクター性に繋がる要素が求められます。
スポンサー
最後はスポンサーによる支援です。
スポンサーになった企業の商品やサービスの提供や金銭での支援などが挙げられます。
PC環境周りのメーカーにデバイスの提供をしてもらっているケースが多いです。ですが、金銭での支援まで受けている例は少ないです。特に日本ではそうです。金銭での支援を受けられるレベルにまで行くには、国内トップクラスのプロゲーマーやストリーマーになる必要があります。
無所属の場合とチーム所属の場合
こうしたお金の稼ぎ方は、無所属の場合とチームに所属する場合で多少状況が変わります。
もともとは皆無所属ですが、その中で頭角を現した人物は、プロチームに引き抜かれていきます。ストリーマーの場合は一定数無所属のまま活動する人もいますが、ほとんど上位のストリーマーや選手の多くはチームに所属しています。
個人の場合は活動での利益を全部自分のものにすることができますが、相当名前が売れている人間以外は稼ぐことが厳しいです。基本的には「ちょっと有名になる」→「チームに引き抜かれる」→「一人でも稼げるので独立する」など、一度はチームに所属する道を辿る人が多いです。
チームに所属した場合は、ブランド力の利用や案件の獲得などの恩恵を得ることができます。特にチームブランド力の恩恵は大きく、名前を更に売ることができ、チャンネル登録や同時接続などの数字に還元することができます。一方でチームよって分配は異なりますが、稼ぎの一部はチームに収めることになります。
逆にVALORANTのスマーフの件のように、一人の身勝手な行為がチームのブランドに傷をつける可能性もあります。
このように考えるとチームに所属することのメリットは大きいように感じますが、「チーム所属」には何点も落とし穴があります。
「チーム所属」の落とし穴
もし仮にゲームが上手な貴方に「自分たちのチームに入らないか」と誘いがきたとします。
こういった時に「自分を必要としてくれる人がいるんだ。」「自分をプロと認めてくれるんだ。」と深く考えずに二つ返事で了承してしまうのは非常に危険な行為です。
新規領域故に「向こう見ずで夢見がちな若者」や「私腹を肥やすことが第一主義の大人」などの多種多様な人間が存在しています。難しい話ではありますが、人間や契約をよく見極めながらチームへの加入は検討することが大切になってきます。
極少数のチーム以外は金銭が貰えない
現在はプロゲーマーに明確な定義はありません。一部タイトルはライセンスなども発行されていますがその効力は絶対的なものではありません。
そのため「プロゲーマー」や「プロチーム」も名乗ったもの勝ちになり、「プロ」のバーゲンセール状態になっています。箱を開けてみると「クラン」や「サークル」の延長線上で、実績が乏しかったり、大会に出場しているだけで給与などの金銭は発生していないのがほとんどです。
トップチームでも安心できない
大会配信でよく見かけたり、ホームページにスポンサーロゴを多く掲載しているような有名チームでも安心はできません。
過去には経営トップが突然消えてしまったり、給料が未払い疑惑があったりなどの事例があります。トップチームだからといって、契約や人間性をしっかり吟味しないと悪い大人に騙される可能性も大いにあります。
野良連合の事件
DetonatioN Gamingの事件
では、何故そんな状況に陥るのか。
それはトップチームであっても経営が厳しいからです。
プロチームの経営は厳しい
プロチームは窓口が大きくなることはあっても、稼ぎ方は個人と大きく変わりません。結局ところ、大会賞金、出演料、動画投稿・ライブ配信の収益、スポンサーなどがほとんどです。
多くのタイトルでチームを作れば、大会賞金を多く貰えるチャンスは増えますが、当然勝ち続けるのは難しいので安定はしません。また、出演料が多くもらえるほどeスポーツの番組が存在している訳もなく、プロチーム全体で動画投稿・ライブ配信の収益を大きく上げているところも極わずかです。ホームページにスポンサーロゴを多く掲載してあっても、デバイス提供のみの支援がほとんどで、金銭の支援を受けているチームは少数です。
これらを手に入れることが出来たとしても、今度は選手やスタッフに分配する必要があります。このように考えると余程バックに大きい企業やパトロンがついていないとかなり経営が厳しいのが分かります。
だからこそ、給与未払いや経営トップが消えてしまうことがあるのです。
とは言え、給与未払いや経営トップが消えてしまうことが許されるではありません。
チームの見極め方
「ゲームで生きていく」というのは、そのイメージと裏腹に、あまりにも厳しい現実が待っているものです。何度も言いますが、特にチームに所属する際の見極めは非常に重要なってきます。
次の4点は念入りに調べてみる必要があります。
- 運営はどういった人物が行っているのか?
例:人間性や適性など - 資金源はどこにあるのか?
例:ブラックな金銭が絡んでいないか、運営が継続可能なのかなど - 契約はどのようになっているのか?
例:若者の夢や希望に付け込んでやりがい搾取を行っていないか(「今度の君のためになる」などの誘い文句で無給で働かせる)など - チーム実態はどのようなものなのか?
例:きちんとした実績はあるのか、チームのイメージは悪くないか(SNSの言動や不正行為など)
終わりに
以上、eスポーツの「お金」に関する問題の紹介でした。
大金を稼ぐチャンスはあるものの、そのリスクもまた大きいということです。
もし上手くいったとしても、プロ選手やストリーマーは基本的に長く稼げる仕事ではありません。その道に進むには、ある程度の将来への対策や覚悟も必要になります。
そして、野球がプロ野球と草野球があるように、eスポーツもプロになることが全てではありません。楽しそうだからと安直に走り出すのではなく、自分の腕と覚悟を見つめなおして、ゲームへの向き合い方を考えるのも必要です。