「esportsにはどんな企業が関わっているのか?」
意外と知らないものだ。
だが、その問いの中には、また違ったesportsの側面が存在していた。
今回は「どんな企業が、どの様に投資しているか」を、解説を加えながら最新の情報でお届けしよう。
はじめに
年々esportsの規模は拡大している。
この動きを支えているのは、スポンサー費、つまりは「企業の投資」である。多種多様な企業が様々な形で“投資”を行っている。
私は思う。esportsの流れを掴むためにも、esportsの道に進もうとするためにも、はたまたesports関連事業の株を持ちたい場合でも、一体どんな企業がどの様な形で「esports」に関わっているか知っておく必要が大いにあると。
そこで今回は「どういった企業が、どの様に投資しているか」を、解説を加えながら最新の情報でお届けしよう。
企業選出基準
世界規模で見れば、その数は計り知れないので、今回は二つの条件に絞ってみた。
- 日本企業であること
- PC関連の会社(PC本体、マウス、キーボード、モニターなど)ではないこと
この二つに絞った理由は単純だ。上記にもある様に世界規模だと数が多く、私たちの生活に馴染みのない企業も多いからだ。それでは読者諸君が少し企業のイメージをしにくいと考えたからだ。
しかし「PC関連の会社」はesports投資の中心となっている為、また別の機会に特集したい。
投資の仕方
esportsへの投資の仕方は主に5つある。
- 施設投資
- 大会投資
- チーム投資
- 海外チーム投資
- (海外大会投資)
大会投資に関しては、大会数や企業数があまりにも多い為、日本大会は大規模大会のみを特集し、海外大会は特集しないこととする。(この辺は別の機会に紹介したい。)
施設投資
施設投資とは、「esportsに触れる環境」に投資することだ。
esports体験施設、esports大会会場、esports cafeなどが含まれる。
これらの施設はesportsコミュニティが交流を持つ場であり、esportsがより一般的になるには必要な場所である。
REDEE
「REDEE」とは日本最大級のesports専用施設であり、配信やesportsの体験コーナー、esports大会会場、プログラミング学習コーナーなどが設けられている。ゲームに”触れる”ことを一般的にする意図を感じる。
しかし、コロナショックの影響でイベントがことごとく中止となり、現状閉館状態なので正直実態はあまり見えてこない。
【公式】日本最大のeスポーツ体験施設「REDEE」紹介ムービー
ようやく稼働している模様が公開され、少しはどんな施設なのか分かるようになった。
電通
この施設の建設に一枚噛んでいるのは、日本最大の広告会社「電通」だ。この状況で「電通」がどんな手を打ってくるのか見物である。
コミュファeSports Stadium NAGOYA
「REDEE」よりはesportsコミュニティ向けの施設となっている。大規模イベントスペースや配信スペース、そして高性能ゲーミングPCで遊べるスペースが完備されている。
NEC
主は「au」であるが、NECも参加している。こうした施設には珍しく大企業が投資している。
League of Legends Japan League (LJL)
世界的人気esportsタイトルである「League of Legends」の日本公式リーグに会場を提供しているのは「お笑い」で有名な「ヨシモト」だ。
ヨシモト
他にも「ヨシモト」は精力的にesportsに参入している。プロチーム「YOSHIMOTO Gaming」の運営、キャスターや配信者なども多数輩出している。
少し離れるが、最近多くのお笑い芸人が「YouTube」に参入するなどデジタルエンターテイメントへの意欲は凄まじい。
闇営業問題であからさまになった、旧時代の遺物の様な会社経営をしている企業とは思えない程に新しい風を感じる。
大会投資
大会投資とは、「esports大会」という一つのエンターテイメントを構成する為の費用を出資するというモノである。
この大会投資という形でesportsに関わる企業が世界的に見ても多い。
その理由は二つある。
- ある程度の規模が見込めるので、広告効果を期待できる
- 参入・撤退が容易
それ故に大会スポンサーは、年毎、シーズン毎に顔ぶれが変わっていることも多々ある。
EVO Japan
日本が唯一世界に太刀打ちできるesportsジャンルといえば、「格闘ゲーム」だろう。その格闘ゲーム最大の祭典である、「EVO」の日本大会では名だたる企業がスポンサーとなった。
カップヌードル(日清)
一番主要なスポンサーは「カップヌードル」の日清である。企業名よりも商品名で投資している企業も結構ある。
au
「au」はあまり目立つことがないが、esportsに最も様々な形で投資している企業である。(コミュファeSports Stadium NAGOYA、DetonatioN Gamingなど)
日産
パナソニック
家電メーカーの中では、一番積極的にesportsに投資しているのは「Pnasonic」だろう。人気が出そうなチームや視聴者が多そうな大会を狙うのが上手い。
全国高校eスポーツ選手権
各地のesports部がある高校がしのぎを削って、全国1位を目指す大会である。競技は「League of Legends」と「Rocket League」の二種目である。この大会のスポンサーには他の大会では見ない様な顔ぶれが集まる。
若い世代が今までとは違った可能性に手を伸ばせる場所を提供することは素晴らしい活動であり、esportsの普及にも繋がる画期的な活動でもある。
こちらも第三回はコロナショックの影響で開催が危ぶまれているのが残念だ。
NTT 東日本
全国国体のesports部門でもインフラ整備を請け負っているなど、esportsインフラには欠かせない企業だ。2020年1月には「NTTe-Sports」という会社を設立している。これからの動きは要注目だ。
“e-Sports”はあえてスルー。
毎日新聞
この大会の主催企業の一つである。新聞社がesportsに関わるのはかなり珍しい。
マイナビ
三菱UFJ銀行
SonyMusic
ビックカメラ
PUBG JAPAN SERIES (PJS)
日本で最もスポンサーが付いているリーグである。上記の二つは、年に一回の開催の大会であるが、こちらはリーグ戦なので頻繁に開催されている。比較的リーグ戦はスポンサーが付きにくい傾向がある(参入・撤退しづらいから)がPJSは大量のスポンサーを抱えている。それほど魅力的なタイトルなのだろう。
サッポロ
ビールで有名な「サッポロ」だ。スポーツ観戦に飲食が付き物である様に、esportsの観戦にも飲食はかなり需要がある。PUBGへの思い入れも強い。
LoFt
生活雑貨を取りそろえる「LoFt」は大会協賛の他、PUBGのイベント開催も頻繁に行っている。
ZOZOTOWN
服のEC会社として有名な「ZOZOTOWN」はリーグ初期から協賛している。また、「PUBG Tシャツ」を販売するなどもしている。
League of Legends Japan League (LJL)
「LJL」とは、League of Legendsの日本公式リーグである。2020年は去年よりも数段グレードアップしている。かなり期待が持てるesportsリーグである。こちらも飲食関係の協賛が多い。
大正製薬
出前館
チーム投資
チーム投資とは、プロesportsチームのスポンサーになることだ。
チームによってスポンサー事情にはかなりの格差がある。そして必ずしもスポンサーが強いチームが各タイトルで強い訳でもないのが面白いところでもある。
今でこそ、大企業がスポンサーについている企業もあるが、esportsチームにスポンサーは付きにくい。
もちろん盛り上がりがまだ足りていないことも一因だが、スポンサーの広告がしづらいことも要因にはある。
チームのユニフォームが晒されることが、フィジカルなスポーツと比べて少ない。あくまでゲーム画面が主役であり、選手個人画面や配信はあまり見られない傾向にあるからだ。かなり課題はある。
SCARZ
日本でesportsが広まる火付け役となったのはこのチームだろう。日本esports黎明期では何回もメディアに取材されていた。
XPERIA (SONY)
JTB
「JTB」他にも、「esports port」というesportsイベント情報やエントリーフォームの機能を持つサイトを運営している。
LIXIL
DetonatioN Gaming
今一番、ノリに乗っているプロチームである。最近は各タイトルで頭角を現し始めている。スポンサーも一番豪華である。
ガリバー(IDOM)
au
ANA
福助
ucc
DeToNator
日本最強のプロチームである。タイトル競技者はほとんどいないが、日本で唯一ストリーマーが成功しているチームである。
Family Mart
SunSister
PUBGとスマブラがほとんどだが、どちらも結果を残している強いチームである。
JiNS MEME
CYCLOPS athlete gaming
大阪に拠点を持つesportsチームだ。選手、ストリーマー、専門学校との協力など幅広く活動を行っている。R6Sは強い。
SAKURA internet
Sengoku Gaming
ここ数か月でかなり成長を遂げたチームだ。各部門でも好成績を残している。ただ、多数の問題を抱えている「mildom」との契約は吉と出るか、凶と出るか。
イオン
サントリー
海外チーム投資
海外チーム投資とは、海外のプロesportsチームに投資することである。
世界では日本よりもesportsが盛り上がっているので恩恵も受けやすい。(海外進出している企業である必要がある)
日本よりもプロチーム所属のストリーマーの集客力が強いので、スポンサー企業のロゴが見られる可能性も高いからだ。
正直最も賢いesportsへの投資である。
Team Liquid
ほんとんどのタイトルで名前を聞くチームである。それだけ強いのだ。しかしその強さの裏には強いチームを買収するマネーパワーも関係している。
HONDA
ここに投資するのは、自動車メーカーの「HONDA」だ。結構前からスポンサーになっている。なかなか先見の明がある。
T1
T1は韓国のプロesportsチームである。「League of Legends」の世界的プロ「Faker」選手が所属している。
大塚製薬
意外と知られていないが、「ポカリ」や「カロリーメイト」で有名な「大塚製薬」は「T1」のスポンサーになっている。
Ninjas in Pyjamas
CSGOやR6Sなど多くのタイトルで活躍してきたチームである。そして4月に配信された「VAROLANT」のプロチームも既に作っている最先端を行くチームだ。
LUMIX (Panasonic)
カメラ「LUMIX」の名前でスポンサーになっているのは、「Panasonic」だ。こちらもあまり知られていない。
傾向
これらの例から、esportsへの投資の傾向が分かった。
- 大会のスポンサーは多い。(比較的参入しやすいからか?)
- 物を扱う大企業は「企業名」よりも「商品名」のところも結構多い。
- リーグ戦やチームなど長く間契約する企業は飲食関係が多い。
- 各業界1社がesportsに力を入れ、競合他社は入ってこない。
コロナショックに晒された今、esportsと企業の関係はどうなっていくのか、要注目だ。