今回は毎年恒例のeスポーツで活躍した者を表彰する「Esports Awards 2020」の結果を紹介し、そこから見える最前線のeスポーツの動向に焦点を当てたいと思う。
- COMMUNITY AWARDS
- INDUSTRY AWARDS
- eスポーツレジェンド部門(Lifetime Achievement Awards in Esports)
- ジャーナリスト部門(Esports Journalist of the Year)
- ハードウェアプロバイダー部門(Esports Hardware Provider of the Year)
- ベストeスポーツ部門(Esports Game of the Year)
- 提携企業部門(Esports Commercial Partner of the Year)
- パブリッシャー部門(Esports Publisher of the Year)
- 報道サイト部門(Esports Coverage Website of the Year)
- 支援代理団体部門(Esports Supporting Agency of the Year)
- 審査員特別賞(Panel’s Choice Award)
- CREATIVE AWARDS
- コスプレ部門(Esports Cosplay of the Year)
- 写真家賞(Esports Photographer of the Year)
- 動画制作者部門(Esports Videographer of the Year)
- コンテンツ制作チーム部門(Esports Content Team of the Year)
- コンテンツシリーズ部門(Esports Content Series of the Year)
- クリエイティブ部門(Esports Creative/Creative Team of the Year)
- クリエイティブ作品部門(Esports Creative Piece of the Year)
- ON AIR TALENT
- PRO AWARDS
- プロチーム賞(Esports Team of the Year)
- コンソールプレイヤー部門(Esports Console Player of the Year)
- PCプレイヤー部門(Esports PC Player of the Year)
- eスポーツ組織部門(Esports Organisation of the Year)
- コーチ部門(Esports Coach of the Year)
- PCプレイヤールーキー部門(Esports PC Rookie of the Year)
- コンソールプレイヤールーキー部門(Esports Console Rookie of the Year)
- モバイルプレイヤー部門(Esports Mobile Player of the Year)
- eスポーツを「繋げること」が今後の鍵か!?
- 終わりに
COMMUNITY AWARDS
ストリーマー部門(Streamer of the Year)
G2 Esportsに所属しており、コメンテーター兼ストリーマーとして活動している。Twitchでも年間通して非常に多数の視聴者を集めている。
ベストプレイ部門(Esports Play of the Year)
BIGCLAN(BERLIN INTERNATIONAL GAMING)のCS:GOの部門に所属している。▼このプレイが評価された。
eスポーツパーソナリティ部門(Esports Personality of the Year)
G2 Esportsの創設者であり、オーナーである人物。G2 Esportsは最近、世界的にも非常に成長しており、ストリーマー部門、競技部門、インベント開催などあらゆる分野で成功している。
コンテンツクリエイター部門(Esports Content Creator of the Year)
WWEで「Xavier Woods」のリングネームで活躍している「Austin Watson」が中心となって活動しているゲームチャンネルである。
大学eスポーツ部門(Esports Collegiate Award)
ニューイングランド大学(NEC)において、eスポーツを教育プログラムに取り込み、プログラムディレクターとして中心になって盛り上げたことで表彰された。
ベストモバイルeスポーツ部門(Esports Mobile Game of the year)
2019年からブラジルなど南米を中心に、急速に成長しているモバイルタイトルである。ジャンルはバトルロワイアルである。
INDUSTRY AWARDS
eスポーツレジェンド部門(Lifetime Achievement Awards in Esports)
この賞は長い間eスポーツ界に携わり、eスポーツの盛り上がりに大いに貢献した人、言わば「レジェンド」に与えられる賞である。
Johnathan “Fatality” Wendel
世界的にもeスポーツ黎明期である1990年代から、FPSのプロプロイヤーとして活動している人物。
Daigo Umehara
日本人唯一の受賞者である。こちらもeスポーツ最初期から、ストリートファイターシリーズで活動しているプロプレイヤーである。何よりも凄いのは現在でも第一線を走っていることである。
Richard Lewis
eスポーツのジャーナリストと長い間活動している。競技における不正、CS:GOの賭博問題、eスポーツ関連企業の疑惑など闇の部分に一石を投じた。
Craig “Torbull” Levine
元プロプレイヤーであり、プロとしてのキャリア終了後、Counter-Strikeシリーズの大会規模の拡大に貢献した。現在は世界最大のeスポーツ運営会社である「ESL」の共同CEOとなっている。
Michael Sepso
Call of Dutyのプロリーグを盛り上げたMLGの創設者であり、大手プロチーム100Thievesの取締役会に参加している。
Lim “Boxer” Yo-Hwan
StarCraftシリーズにおける伝説的プロプレイヤー。現在はポーカーのプロとして活動している。
ジャーナリスト部門(Esports Journalist of the Year)
「League of Legends」を中心に活動しているeスポーツジャーナリスト。現在は最大手eスポーツメディアである「ESPN」で執筆している。
ハードウェアプロバイダー部門(Esports Hardware Provider of the Year)
ストリーマーの配信環境に必要なアイテムを販売している会社である。マイク、スタンド、スイッチャー、グリーンバックなど。詳しくは下のリンクより確認を。
ベストeスポーツ部門(Esports Game of the Year)
オンライン化への対応も非常に早く、更にはオフラインの開催まで行えたことは、どのタイトルと比較しても素晴らしい。盛り上がりといった側面でも「League of Legends World Championship」は去年以上の視聴者数を動員するなどの結果を残した。
提携企業部門(Esports Commercial Partner of the Year)
大会、イベント、プロプレイヤー、ストリーマー、プロチームと至る所で「Logitech」のデバイスを見た1年であった。それだけeスポーツに力を入れているということだ。因みに筆者のデバイスもほとんど「Logicool」である。
パブリッシャー部門(Esports Publisher of the Year)
「League of Legends」はもちろんのこと「VALORANT」の盛り上がりもトップクラスであることからも当然の選出といえる。
報道サイト部門(Esports Coverage Website of the Year)
PCゲームのティアでお馴染みの「THE ESPORTS OBSERVER」が選出された。eスポーツを俯瞰できるサイトであり、チームの協賛や提携の記事は一番詳しくまとめられている。内容も非常に良質である。
支援代理団体部門(Esports Supporting Agency of the Year)
eスポーツにおいて「喋り」を担当する実況、解説、ホストなどの能力を持った人と、そうした人材を必要とするイベントをマッチングさせる会社である。提供されるのは精査された人材のみである。大会シーンでよく見かける人はほとんど登録している。
審査員特別賞(Panel’s Choice Award)
「Steve Dudenhoeffer」と「Michal Slowinski」は今年大問題となったCS:GOの協議シーンにおけるバグの悪用を看破した功績によって表彰された。
バグの詳細は下のリンクから⇩
CREATIVE AWARDS
コスプレ部門(Esports Cosplay of the Year)
VALORANTのキャラクター「Killjoy」のコスプレが評価され選出された。Riot Gamesのキャラクター特有の顔を再現できるのが凄い。
写真家賞(Esports Photographer of the Year)
eスポーツを主戦場にしている写真家。Team Liquid、1UP Studios、Monster Energyなどを相手に活動をしている。
動画制作者部門(Esports Videographer of the Year)
100Thievesのクリエイターの一人である。カメラの腕もあるが、今回は動画部門での選出となった。▼この動画は彼の作品の一つである。
コンテンツ制作チーム部門(Esports Content Team of the Year)
「League of Legends European Championship」が選出された。世界大会でEU勢がなかなか優勝を奪還できない中でも、ヨーロッパでも盛り上がりを見せている裏側には彼らの貢献があることは間違いない。
コンテンツシリーズ部門(Esports Content Series of the Year)
The Eavesdrop Podcastとは、Call of Dutyシリーズを筆頭に、世界的に活躍しているeスポーツチーム「OpTic Gaming」の創設者である「H3CZ」が、ゲーム関係者との週一で行うトークショーである。
クリエイティブ部門(Esports Creative/Creative Team of the Year)
ゲーム関係企業やストリーマーのイメージ動画やサイト開発などを主に行っている。eスポーツの格好良さの部分において最先端を走っているといえる。
クリエイティブ作品部門(Esports Creative Piece of the Year)
動画の作りこみは他タイトルに抜きん出ている。またムービーに専用の歌まで入れているのも凄い。これがRiot Gamesの力か・・・
ON AIR TALENT
解説者部門(Esports Colour Caster of the Year)
主に北米のRainbow Six Siegeシーンを解説している。彼もまたCSAに登録されている。
実況者部門(Esports Play by Play Caster of the Year)
League of Legends Championship Seriesで実況を務めている。
ホスト部門(Esports Host of the Year)
League of Legends European Championship や League of Legends World Championship で何度もホストとして活躍している。
アナリスト部門(Esports Analyst of the Year)
CS:GOの元プロであり、現在はCS:GOのアナリストやキャスターとして活躍している。
PRO AWARDS
プロチーム賞(Esports Team of the Year)
Dota2での悲願の優勝によって選出された。2020年のDota2シーンを無双していた。
コンソールプレイヤー部門(Esports Console Player of the Year)
Call of Duty League 2020において優勝に大きく貢献した。同大会のMVPにも選ばれている。
PCプレイヤー部門(Esports PC Player of the Year)
Team Secretの2020年の活躍に大きく貢献したことから選出された。
eスポーツ組織部門(Esports Organisation of the Year)
「VALORANT」において「G2 Esports Invitational」や「Fall Guys」のスキン化オークションなど、イベントへの開催や参加の姿勢が目立った。今年のゲームシーンではその名前を聞かないときは無い程だ。チームとしても競技部門とストリーマー部門の両方で高い成績を残している数少ないチームである。
コーチ部門(Esports Coach of the Year)
2020年のDota2における「Team Secret」の活躍の影の立役者。
PCプレイヤールーキー部門(Esports PC Rookie of the Year)
最近まで「DRX」で活躍していた「League of Legends」のプロプレイヤー。11月からはT1に加入している。
コンソールプレイヤールーキー部門(Esports Console Rookie of the Year)
Esports Console Player of the Yearに引き続き、Esports Console Rookie of the Yearでも受賞している。今年度唯一の2冠である。
モバイルプレイヤー部門(Esports Mobile Player of the Year)
東南アジアで爆発的人気を誇っている「PUBG Mobile」において、最強のチームである「Bigetron RA」のIGLを担当している。
eスポーツを「繋げること」が今後の鍵か!?
今回の結果を見て一番に感じたことは、世界ではeスポーツが内外において孤立することなく、最適に繋がっているということだ。
eスポーツ内を繋ぐ
「CSA」のようにキャスターとイベントを繋げるなど、「ゲームに精通した人」と「eスポーツイベントを開催したい人」をマッチングさせる為、間に入る第三者的存在は今後必要になってくるだろう。これはキャスターだけに留まらず、企画、設営、運営、カメラ操作などイベントに携わる全員に広がっていくと思われる。
eスポーツイベントに新規参入したい人、既存のeスポーツイベントを改善したい人がいた場合、現在では「人材を何処から調達すればいいのか」、「人材をどういった基準で選べばいいのか」分からない。
だからこそ、今後eスポーツイベント開催が頻繁になる未来があるなら、そのノウハウがある人を客観的に評価し、品質が担保できる人材を開催したい人に提供する存在が必要であると言える。
eスポーツ外と繋ぐ
ストリーマー、プロチーム、大会に対して、特に目で見てわかる動画、写真、サイトデザインなどのヴィジュアルコンテンツを通じて、eスポーツとその外部の人達を繋げる分野も非常に成長していると感じた。
日本ではまだ少ないものの、ブランディングを重視するプロチームを中心に徐々に進み始めている。
eスポーツを今後拡大していくためには、このようなクリエイティブな分野による「一目見て格好いいと思う感覚」を作っていく必要があるだろう。
終わりに
まだまだeスポーツの需要から作っていかなければならない日本だが、今回の「The Esports Awards 2020」の結果を受け、色々なアプローチの仕方を知ることができたのではないだろうか。