「Fall Guys」の人気の理由はそのゲーム性やデザインだけではない。Twitterを中心とした「巧みなスキンビジネス」と「公式がコミュニティを盛り上げる姿勢」にも隠されている。
巧みなスキンビジネス
現在のゲーム内課金概要
世界的に「ガチャ課金」が嫌われる中、ゲーム内課金で伸びているのは「スキン課金」だ。こちらは「直接購入」や「シーズンパス」などによって、お目当ての物は確実に入手できる。ガチャのようにどんなにお金を積んでも入手できないということはない。
「Fall Guys」はスキンが映える!!
メイン画面、待機画面、勝利画面では自身のキャラクターが大きく表示されることや、視点が三人称であることによって、他タイトルと比べても自分のスキンを見る機会や他人のスキンと比較する機会が多い。
その結果、「より格好いい」「より可愛い」を目指し、新たなスキンへと手を伸ばす人が増えているのだ。
また、デフォルトのキャラクターが非常に素朴な為、他タイトルと比較してもスキンが映え、プレイヤーはカスタマイズのし甲斐がある。
こうした「Fall Guys」のスキンの魅力はプレイヤーだけでなく、多くの企業も虜にしている。
彼らはゲームスキンを広告塔にしようと目論んでいるのだ。
コラボしたゲームタイトル
現在コラボしている「ゲームタイトル」を紹介していこう。
Portal 2
Exit the Gungeon
Team Fortress 2
Half-Life
Hotline Miami
リリース以前のツイートによると、「Gato Roboto」「Gris」「The Messenger」「My Friend Pedro」などの作品のスキンも登場する可能性は高い。「Steam」で販売されているタイトルが多いことも注目だ。
「NieR: Automata」のスキンも登場するかも!?
「Fall Guys」に注目している企業
「Fall Guys」に注目しているのは、ゲーム関連企業だけではない!!今回はその一部を紹介する。
- Walmart (スーパー業界最大手であり、「西友」の親会社でもある)
- KFC (ケンタッキー・フライド・チキン、最近はesportsへの関心が強い)
- G FUEL (eスポーツエナジードリンク最手)
- AORUS (ゲーミングPCのマザーボードやグラフィックボードのブランド)
- Wendy’s (世界大手ハンバーガーチェーンの一角)
- CORSAIR (ゲーミングキーボードやヘッドセットのブランド)
こうした企業は自社とのコラボスキン案を「Fall Guys」のアカウントに提案している。
募金イベント
更に「Fall Guys」は面白い試みを展開している。
「SpecialEffect」という世界中の身体に障害を持った人達にもゲームを楽しんで貰える様な環境づくりに取り組んでいる団体がある。
最も多額な寄付をした人(組織)がオリジナルのスキンを作ってもらえるという企画だ。
誰も損をしない、とてもいい企画である。ここに集った参加者も大物揃いだ。
主な参加者
- Ninja (世界で最も知名度があるストリーマー)
- Aim Lab (FPSゲーマー御用達のAim練習ゲーム)
- MrBeast (YouTube登録者4200万人の企画系YouTuber)
- G2 Esports (世界大手のeスポーツチーム)
- Piques (Facebookが9.1M, Instagramが2Mのフォロワーを持つインフルエンサー)
- Sidemen (YouTube登録者896万人のグループ系YouTuber)
- WARFRAME (世界的ヒットしたSFシューティングゲーム)
- Cooler Master (ゲーミングPCのクーラーやケースで有名なブランド)
2020年8月24日現在、最高額で入札しているのは「FGTEEV」というチャンネル登録者数655万人の家族系YouTuberである。金額は驚異の42万ドル (約4,400万円) オーバーである。
公式が率先してコミュニティを盛り上げている!!
プレイヤーのアイディアを積極的に取り入れている
リリース半年前の時点でスキンのアイディアを一般から募集していた。そして2020年8月13日にはサーバー復旧作業の埋め合わせとして、優秀だったスキンを実際にプレイヤーに配布した。
公式はプレイヤーのアイディアを積極的に取り入れる姿勢を見せている。
ユーザーの作ったコンテンツを積極的に紹介!!
素晴らしいコンテンツであれば、イラストでも、歌でも、動画でも、配信クリップでもどんなものでも取り上げている。
公式のTwitterで紹介されることによって、プレイヤーが生み出すコンテンツも更に磨きがかかるという素晴らしい循環が生まれている。
ライブ配信への高い意識
ライブ配信がゲームに及ぼす影響の大きさを考慮した立ち回りが随所に見える。
ゲーム配信は、一般的にリリースやベータ版解禁初日にピークを迎えて急降下する。しかし「Fall Guys」は比較的高水準で安定し、リリース数週間後に最高記録を達成している。
ベータ版初日 | 正式リリース | その後の最大値 | |
VALORANT | 1,726,047 | 249,722 | 582,515 (ShroudのTwitch復活) |
Hyper Scape | 465,955 | 147,546 | 90,939 (Twitch Rivals) |
Fall Guys | 250,502 | 523,115 | 620,158 (TimTheTatmanの1位獲得) |
配信者との絡み
なかなか1位が取れない大物配信者の「TimTheTatman」に対して、Twitter上で煽りを交えながらも公式が応援した。
結果、彼がようやく1位を取った配信では彼自身のチャンネルで34万人以上が、「Fall Guys」全体では62万人以上が同時視聴する程の盛り上がりを見せた。この記録は正式リリース時を上回る結果となった。
また、通算成績が優秀な1名に報酬として特殊スキンを先行で与える企画「TheFallenOne」では、大物配信者で非常にうまい「DrLupo」を選出し、彼の配信を盛り上げた。
更に2020年8月28日、「TwitchRivals」にて賞金総額5万ドルの大会を開催する。80人の配信者が4人1組の20チームで行うチーム戦である。しかし「カスタムマッチで行うのか?」「新しいコースが追加されるのか?」など、まだ明かされていない部分が多い。
全てTwitterが起点
「スキンビジネス」「コミュニティの盛り上げ」の成功において大きな要因となっているのが公式Twitterの運営である。施策がほとんどTwitterで行われていることからも分かるだろう。
「Fall Guys」の公式Twitterは、他の公式アカウントではあり得ない程フレンドリーである。全く堅い印象を感じさせない。それでいて特に不快な印象は受けない。絶妙なバランス感覚の上で成り立っている。
企業やプレイヤーとSNSというプラットフォームを通じて共にゲームを創っていく、そんなゲーム運営の新たな姿こそが「Fall Guys」の人気の秘訣なのだ。
今後の懸念点
そんな絶好調の「Fall Guys」にも唯一にして最大の魔の手が迫っている。
チーター問題
残念なことに最近ではチーターの数が増えている印象を受ける。2~3ゲームに1回ぐらい遭遇するが、これは非常に高い遭遇率である。
多くのプレイヤーからも早急な改善を求める声が大きくなっている。
チーターへの対応は最優先事項です。現時点ではチーターが検知されても、ブロックされる前に終わりまでプレイできてしまいます。より即効性のある対応を始める予定です。以前お知らせしましたが、チーターを手動で通報する必要はありません。
一応運営も「チート対策」を最優先事項としているらしいが、まだ改善の兆しは見えない。今のままでは間違いなくプレイヤーが激減するだろう。
最後に
「Fall Guys」の快進撃は止まらない。2020年8月27日にシーズン2の概要が発表される予定だ。更に中国ではモバイル版の配信が決まっている。
こうした試みによって生き残るのか?チーターによって落とされるのか?「Fall Guys」のサバイバルに要注目だ。