爆発的人気の「Among Us」の簡単な紹介とヒットまでの軌跡を特集し、最近のヒットタイトルの特徴を分析した。
【YouTube】Among Usは何故大ヒットしたのか!? 最近のヒットタイトルの法則とは?
はじめに
日本では「Apex Legends」「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」「Fall Guys: Ultimate Knockout」などのタイトルが今年のゲーム界隈を盛り上げている。
一方世界では、マイナータイトルである「Among Us」が爆発的人気を誇っている。あまり日本では知られていないだろう。
そこで今回は、そんな「Among Us」を簡単に紹介し、ヒットまでの軌跡、昨今の流行るゲームの特徴などまとめてみた。
Among Us とは?
概要
- タイトル:「Among Us」
- リリース日:2018年11月17日
- デベロッパー:Innersloth
- パブリッシャー:Innersloth
- 対象人数:4~10人
注目ポイントは2つある。
1つ目はリリースからヒットまで2年近くの年月が経っていること。2つ目は「Among Us」の開発は僅か3人で行われていたことだ。
ストア
- Steam:520円
- Google Play :無料
- App Store:無料
クロスプラットフォームに対応している
対応言語
- 英語
- ポルトガル語 – ブラジル
- スペイン語 – ラテンアメリカ and スペイン
- 韓国語
残念ながら日本語は対応していない。これが最大のネックである。もし仮にプレイしたい場合には他言語に堪能であるか、説明を読まなくても理解できる程にゲームを熟知する必要がある。
PCの最低スペック
- OS: Windows 7 SP1
- プロセッサー: SSE2 instruction set support
- メモリー: 1 GB RAM
- DirectX: Version 10
- ストレージ: 250 MB 利用可能
比較的新しめのPCであれば、ノートパソコンでもできるほど、要求されるスペックは低い。またモバイル版は「Android」「iOS」の両方で遊べるので、ハードルは低いといえる。
どんなゲームなの?
一言で言うならば「人狼」である。
通常の人狼とは異なり、話し合いで「人狼」を見つけていくだけではなく、舞台である「宇宙船」も鍵となってくる。
非人狼側には「宇宙船」を出航させるという目的があり、そのための修理もタスクには含まれる。タスクは各所に散りばめられており、全部クリアする必要がある。
それに対し人狼側は、非人狼側の殺害だけでなく修理タスクの妨害をする必要もある。もし出航されてしまったら人狼側の敗北になってしまうからだ。
昨年話題になった「Project Winter」などとゲーム性は近い。
最近の人狼は役職の種類が非常に多く、それらを覚え、効果的に振舞うのは難しくなっている。その点「Among Us」は、話し合い以外の要素もあるが比較的シンプルなので、他の人狼ゲームと比較してもかなりハードルが低いといえるだろう。
配信でヒットするまでの軌跡
苦戦の2年間
Twitchでの平均同時視聴者数推移(グラフ)
Twitchでの平均同時視聴者数推移(数字)
2020年6月までは、平均同時視聴者数も3桁のままほとんど横ばいの状態が続いていたことが分かる。リリースが2018年の秋であったことを考えると約2年間は伸び悩んでいたことになる。
そして2020年7月に大きな転機を迎えることになる。その後は8月、9月と月を追うごとに上昇している。ここ数週間はTwitchの王者である「League of Legends」を最高同時視聴者数で上回ることも多い。
現在では有名タイトルを押しのけ、全世界の「Steam」での売り上げの最上位に君臨している。
配信者「xQc」の存在
では、転機となった7月に何があったのか?
今年に入って特に力を付けている大物ストリーマーの一人「xQc」が「Among Us」を定期的に配信し始めたのが要因であると考えられる。
彼はタイトルに依存しない固定の視聴者がかなり多く、また幅広いタイトルを配信する特徴がある。彼が配信するだけで新規タイトルやマイナータイトルもランキング上位に食い込み、多くの人に認知されるケースが多々ある。
そんな彼の配信を起点に面白いタイトルが世に知られていくケースが最近非常に多い。「Hyper Scape」や「Fall Guys」のベータ版配信で一番多くの人を集めていたのも実は彼である。
つまり、最近のヒットタイトルの裏には彼の存在があるということだ。
日本では流行るのか?
人狼が人気の日本であれば人気が出る要素はあると思われる。特に配信において、多くの配信者を集めてプレイできるタイトルが伸びる傾向にあることを考えると、非常に適したタイトルだ。
しかし日本語対応していないという言語の壁が存在している。
これを乗り越えられるかが、流行るか流行らないかを左右することは間違いない。
一度ルールを覚えてしまえば、操作上のプレイスキルが求められない分、楽にプレイできると思う。
今年の流行るゲームの傾向
どれだけ有名な配信者がそのタイトルを配信したかというのも大きな要素ではあるが、ここではゲーム性に注目して、流行るゲームの傾向を考えていく。
特に注目すべきは、やはり「Fall Guys」と「Among Us」だろう。これらの2つのタイトルに共通しているのは「シンプルなデザイン」と「操作の簡単さ」である。
シンプルなデザイン
利点は2つある。
1つ目は、「Fall Guys」の紹介記事でも触れたが、シンプルなデザインの場合、スキンなどのコスチュームが映えやすい。そのため、個性が反映されやすい。
2つ目は、デザインで敬遠されにくいことだ。近年のゲームが求めがちな「よりリアルに、より複雑に、より美しく」の場合、デザイン自体に強烈な個性が生まれてしまい、プレイヤーの好き嫌いがはっきり分かれてしまう。非常にシンプルなものは無個性に近いので、好きとはいかないまでも敬遠されることは少ないだろう。
操作の簡単さ
コロナショック以後、ゲームに触れる人が増えたのは明らかだ。そんな彼らの多くは基本的にゲームに馴染みが薄い人ばかりだろう。こうした人にとって、操作に必要なボタンが多かったり、高度な操作が求められるタイトルはハードルが高い。2つのタイトルのように操作が簡単なものは挑戦しやすいのだ。
まとめ
より多くの人がプレイすることに抵抗を持たないタイトルが人気なのだ。
Cyberpunk 2077
これらの傾向を考えると「Cyberpunk 2077」が少し心配だ。2020年で最も期待されているタイトルといっても過言ではないが、全く逆のベクトルなのだ。
期待値を超えられるか微妙な気がする。ぜひとも裏切って欲しいものだが・・・。
ちなみに「ウィッチャー3」よりキャンペーンが短いようだ。
最後に
爆発的人気を誇っている「Among Us」ではあるが、「Fall Guys」と同じように来月には旬が過ぎてしまっているだろう。
こうした加速する消費は新たな面白いタイトルを発掘する反面、人気だったものがあっという間に廃れていく寂しさをも感じさせる。